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第三百四十三夜 目覚め ページ28

〜No side〜


「……っ」


ここまで話を聞き、黄香の額からはじわじわと冷や汗が滲み出ていた。

水浄村の財政破綻。
領主の横暴な金使い。
膨れ上がる元黄桃村民への税金。
そして現れた救世主……。


黄香は嫌な予感がしていた。
でも、それを認めまいと話を一生懸命聞いていた。

だが………。


「あの、その後領主って、やっぱり……」


黄香はそこまで言うと、言葉を飲んだ。
その続きを言おうとするが、声が出ない。

翠玉は、黄香のその様子を見てゆっくりと立ち上がった。
そして林檎を次から次へと口に放っていたサーリエのほうに向き直る。


「サーリエ様。少々黄香様と一緒に外に出てもいいかい?」

「んッ。……外?いいぜ?別に」


サーリエは最後の林檎の一片を口に含み飲み込むとそう言った。
翠玉はその言葉を聞くと黄香に目線を少しやると扉の方へ歩き出した。

黄香はそれを見ると、ゆっくりと立ち上がり翠玉の後を追った。


――――バタンッ


「………」


一人残されたサーリエはつまらなそうな顔をして窓の外を眺める。

小さな丘に綺麗な青空。
よく見ると、小さな丘には二つの突起が見える。



「………俺も、外出るか」




―――――――――――――――――――

―――――――――――

――――


…その頃、野晒しにされているレイラは。


「んっ…眩しっ…」


――目を覚ましていた。

レイラは眠たげに身体を起こし、目を擦る。
そして周りの風景を見ると目を丸くした。


「え、何処よ……ここ」


見慣れぬ風景にレイラは思わず言葉を零した。
先程の”夢”もあいまってか、レイラの身体は汗でびょっしょり濡れていた。


「それにしても、何……」


レイラはそう呟くと、胸の辺りを押さえた。


「"私達だけになる"って、一体、どういうことなのよ……」

"彼女"には一体何が見えたの?
ユユが所持していたネックレスの本当の持ち主って何……?

レイラの頭の中でそんな思考が展開される。

――"彼女"が言った言葉の意味。
今のレイラには理解し難いものばかりだった。


「本当、






……―――可哀想な人ね」


胸に目を落とし、レイラは哀れんだ目でそう呟いた。

そんなレイラの言葉に、胸の奥の"何か"がじわり、と蠢いた気がした。

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厨二乙(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!明日までには続編をつくる予定です (2016年8月10日 15時) (レス) id: 7e18410e1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きがきになります(*´∀`)ワクワク更新頑張ってください(*´ω`*) (2016年8月10日 15時) (レス) id: 4f1d10fb33 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 厨二乙さん» 良かった!楽しみにしてます!(((o( ˙-˙ *))o)))! (2016年8月5日 20時) (レス) id: a582850307 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:厨二乙 | 作者ホームページ:http://.  
作成日時:2016年4月24日 21時

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