第三百三十七夜 交渉 ページ22
〜黄香side〜
「あの、すみません……」
「はい。いかがなさいましたか?」
書類をチェックしていたその女性は、忙しそうにしていた手を止め、にっこりと私に向かって微笑んだ。
えーっと……なんて言えばいいんだろう。
「あ、えっと……水浄村がなくなったと兵の方から聞いたんですけど……本当ですか?」
「え?あ、はい。本当ですけど……」
女性は不思議そうな顔をしながらそう言った。
それはそうだろう。
水浄村がなくなってから半年経ったというのに、今更こんなことを聞くなんて可笑しすぎる。
「あの、なんでなくなったとかって分かりますか?」
「いえ、私今年入ってきたばかりの新人ですので……。あ、今上の者に聞いて参ります。あの、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
そう言い、女性は綺麗な金髪の髪を揺らしながらペンと紙を用意した。
「えっと……
「らん おうか様っと……え?らん?」
「そ、そうですけど……」
私の名前を聞き、女性は目を丸くする。
すると女性は、私の名前を書いた紙を至近距離で見せてきた。
「ら、"らん"ってこんな文字ですか…!?」
そう言い女性がペンで指したのは「藍」という私の苗字。
女性の凄まじい威圧に、私は思わず頭を大きく縦に振った。
それを見た女性は先程よりも目を見開き、「少々お待ちください!!」と大きく叫び奥の方へと消えていった。
突然空気についていけなくて、私はその場に立ち尽くす。
呆然とする私に、サーリエは心配そうに顔を覗き込んだ。
「何か慌てて奥に入ってたけど……何かあったか?黄香」
「え、いや……私にも何が何だか……」
サーリエにそう言われ、私は女性が入っていった扉を見つめた。
しばらくすると奥の扉が開き、先程の女性が小走りでこちらに走ってくる。
「藍様。どうぞこちらへ」
「へ?」
突然の女性の言葉に私とサーリエは顔を見合わせる。
女性は私たちの姿を見て、少し困ったような顔をしながら口を開いた。
「……この村の村長が藍様にお会いしたいそうです」
「!!」
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厨二乙(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!明日までには続編をつくる予定です (2016年8月10日 15時) (レス) id: 7e18410e1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きがきになります(*´∀`)ワクワク更新頑張ってください(*´ω`*) (2016年8月10日 15時) (レス) id: 4f1d10fb33 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 厨二乙さん» 良かった!楽しみにしてます!(((o( ˙-˙ *))o)))! (2016年8月5日 20時) (レス) id: a582850307 (このIDを非表示/違反報告)
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