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第三百三十六夜 緑燈村役所にて ページ21

〜黄香side〜



「ちょっ、おい黄香!転ぶって!!」

「……」


サーリエの少し足を引きずる音を聞きながら、私は歩くスピードを速める。


「おい黄香!聞いてんのか!?」

「……」


サーリエの言葉など無視し、一心不乱に歩いていると、大きな門が見えた。
慌てて顔を上げると、そこには青を基調とした東洋風の大きな屋敷が目に入った。

それを見て、私は思わず足を止めた。
かなり早歩きで歩いていたため、サーリエが「わぶっ」とだらしない声を出しながら私の背中に突撃してきた。


「うう〜……鼻いってぇ……」


そう言い、鼻を擦るサーリエ。


「つーか急になんなんだよ。いきなり俺の手掴んで歩き出してさ。一体、どうしたんだよ」

「え、い、いや……。サーリエ遅いから、早く行きたいなって思って……」


……もちろん嘘だ。
でも、本当のことをサーリエに言ったら、さっきの言葉を思い出しそうで。

サーリエは私の言葉を聞き、「悪かったな、遅くてっ!」と頬を膨らませた。









……―――サーリエが馬鹿でよかった。


「まあ着いたんだから早く中に入ろうぜ!」

「あ、うん。……そうだね」


サーリエの言葉に頷き、私は止めていた足を動かした。

屋敷には「緑燈村役所」と書かれた看板がでかでかと掲げられていた。
多くの人が出入りしており、とても騒がしい雰囲気だ。

役所から出てくる人々の邪魔にならないように歩きながら、私達はなんとか扉の前にまで辿り着いた。


「人、多すぎねぇ……?」

「それは思った」


目の前に見える沢山の人々を見ながら、私達はそう言った。
ここに立っているのもあれなので、とりあえず中に入ることになった。

中はかなり広く、やはり元水浄村領主の屋敷なので、青系統の小物が多い。
役所用に改築されているらしく、屋敷のような華やかさはあまり残っておらず、シンプルな造りとなっていた。


「………」


私は深呼吸をし、心を落ち着かせる。
そして私は、ここで働いているであろう女性に声をかけた。

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厨二乙(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!明日までには続編をつくる予定です (2016年8月10日 15時) (レス) id: 7e18410e1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きがきになります(*´∀`)ワクワク更新頑張ってください(*´ω`*) (2016年8月10日 15時) (レス) id: 4f1d10fb33 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 厨二乙さん» 良かった!楽しみにしてます!(((o( ˙-˙ *))o)))! (2016年8月5日 20時) (レス) id: a582850307 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:厨二乙 | 作者ホームページ:http://.  
作成日時:2016年4月24日 21時

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