05 倉元とランチ ページ9
作戦を来週に控えた金曜日。
お昼に近くのワンコインランチを食べに行こうと立ち上がったところで、向かいのデスクの倉元に呼び止められた。
ついてくるらしい。
あと5分待ってと言われたので仕方なく座り直すと丈さんが戻ってきた。
「湧、実はクインクス班の米林がそっち系のビデオから丁度良さそうな情事の声を取り出してくれている。声のトーンを、」
『ちょ、ちょ、ちょ!』
思わず大きな声を出す。
『な、何言ってるんデスカ!』
「すまない、囮捜査の話だ。」
「タケさんとはそういう話したことなかったなぁ…ハイセとはあるんだけどな…。」
倉元の口から漏れるどうでもいい情報。
いいから早く仕事して。
『声のトーンを私に合わせるって?』
「ああそうだ。こんな仕事を米林に任せていいのかと考えたが実際彼女くらいしかいなかった。この仕事には乗り気だと聞いたから湧に確認を取らずに委ねてしまったが。」
さすが才子ちゃんだなぁ。
『いえ、ありがとうございます。才子ちゃんセレクトなら安心できます。』
実はバカみたいに喘いでるのを流されたら演技のしようがないなと考えていたし。
あんな風に喘ぐわけないっての。
『今夜シャトーにいけばいいのかな。』
「ああ、頼む。」
最近頻繁にシャトーに行ってるな。
才子ちゃんに何か手土産を買って行こう。
「おけおけ。終わったよ。」
倉元が立ち上がった。
*
**
*
お昼はここのランチにCCGの職員が人がよく来ている。
今日はクリームパスタとサラダのAランチ。
これで500円なんだから恐ろしい。
倉元も同じものを頼んでいるけどたぶん少ないんじゃないかな。
こいつは夕方くらいにデザートを食べ始める男だけれども。
「才子ちゃんの音源聞いてシュミレーションしとかなきゃいけないな。」
『ねえ倉元、それ私と同じ声になる予定なんだけど。』
「うん……。」
どうすんだと頭を抱える倉元。
「でも本番で初めて聞いて動き合わせるとか…。」
『出来ない。』
「だよね〜〜。」
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ゆー - 有馬さん僕じゃなくて俺って言いますよ (2016年9月14日 17時) (レス) id: 82686e1266 (このIDを非表示/違反報告)
蘭乃 湧(プロフ) - 黒猫@神櫻梶さん» いつもありがとうございます。ここに50話までしかアップ出来ないという都合上で。笑 普通にこのページのものと合わせて一つの物語です! (2016年7月13日 12時) (レス) id: c5412138af (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@神櫻梶 - 続編ですか!?楽しみにしてます! (2016年7月12日 22時) (レス) id: 568c15fe38 (このIDを非表示/違反報告)
蘭乃 湧(プロフ) - ragiさん» ありがとうございます!どうやって完結させようか迷っております… (2016年7月6日 2時) (レス) id: c5412138af (このIDを非表示/違反報告)
ragi - つづき楽しみにしてました!やっぱりいいお話ですね! (2016年7月5日 11時) (レス) id: d8f35f2d6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭乃 湧 | 作成日時:2016年5月24日 22時