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るす君がいなくなった時、僕は先輩にキスをねだった。症状は不思議と出ない。けど、るす君が先輩の名前を口にしている事に少々腹が立った。
『……症状が出たの?』
「…ちょっとだけ」とわざと嘘をついた。
初恋は幼稚園児の時だし、その時は当たり前だが発○期なんて言葉知っている訳もない。だから羞恥感なんて一切無いんだ。
だがそれらを知っている今、好きな人にキスしようとねだるが自分で言った事なのに顔が熱くなる。
「(…大人になるって怖い)」
……って、うわぁ…先輩悩んでるよ。しょ、しょうがないじゃないか嫉妬だってするしメンヘラだもん。
「る、るす君が来るまでの間で良いですから!」
少しだけ。少しだけだから、先輩に触れていたいんです。
けど、キスしたら身体とか熱くなって余計に症状出たらどうしようかな…なんて思ったけど今はそんなのどうでも良いや。
『…………うん、分かった』
迷いながらも彼女は頷く。それを合図に僕は首を傾け彼女との距離を狭める。
『……んっ』
本当に柔らかくて食べちゃいたい。
昨日してる最中も何度かしたけどキスになんて集中出来なかった。頂点に達するのを堪えるためにお互い必死だったのだ。
「(………可愛い)」
薄ら目を開けてみると目の前にはぎゅっと目を瞑った先輩。酸素を取り込むのに必死で苦しそうだ。
先輩の為にも…と、思い僕は違う攻め方でいく事に。下唇を自分のではむっと加え、舌で舐めたりする。
けどそれは逆効果。
『…ちょっ…まふ君…それ駄目』
僕から離れると、目線を下にやり照れていた。どうしてかと聞くと「恥ずかしいから…」と頬を赤く染めて口にした。
…あれ、可笑しいな。いつもこんな事されたら症状が出るはずなのに…何故か出ない。
「…良いでしょ…?ちょっとだけ、だから。るす君が来るまで…__」
「っくしっ…」
…ん…?声が聞こえる方に目線をやると、そこには人影が。
「『…。』」
もしかして…とは思うけど…。
「……るす君?」
恐る恐る声を掛けると「ご、ごめん」と小さく謝った。
そーっと片目だけ出して、場が悪い様に呟く。
「お取り込み中やって知らなくて…その…俺いないと思って続きして良いよ?」
いや、流石にそれは無理なんだけどな。
…あー………良い所だったのに。もっと用を足す時間長くても良かったのにな。
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作者名:花 x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/ryou/
作成日時:2018年2月2日 22時