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そう思った時には、もう遅かった。
「A!」
レッスンルームの扉が勢いよく開いて、トキヤが入ってきた。
そして…トキヤは、ST☆RISHを見るなり…嫌な顔をした。
「A。ちょっと来てください」
…ねぇ…。
ここに来て、いきなりそんな事言って…
なんで私を無理やり連れて行こうと手を引っ張っているの。
「やめて」
私は、トキヤの手をはらって距離をとった。
「今は、ST☆RISHと話をしてるの。
トキヤとの時間じゃない。今は、ここにいるみんなとの時間。
それに…私はさっきトキヤを見送ったはず。
なのになんでまた会いに来たの?準備するんじゃなかった?」
口から…今まで溜まっていたものが、どんどん出てきた。
言いたい。って思ってたわけでもないのに。
なぜか…キツイ言い方になった。
これ以上…時間を奪われたくない。
「っ…いいから、来てください」
「無理だよ。私には私のやる事がある。
今、トキヤの所に行く時間はないの」
「………………」
そう言ったとき、トキヤは黙った。
なのに…出て行こうとはしない。
なんで?
「多分…準備を手伝ってとか言いに来たのかもしれないけど…
私は今、仕事中。仕事の邪魔をしないで」
ホントは、仕事じゃないけど…
そうやって言えば、トキヤなら帰ってくれるんじゃないかな。
そう思ってた私は甘かった。
「嘘をつかないでください。仕事じゃないことはわかっています。
今は忙しくないですよね」
っ…何がしたいの。
忙しくないなら、トキヤと一緒にいなきゃいけないの?
私に自由時間はないの?
「おいトキヤ…Aは行きたくないって言ってんぞ」
え…翔?
翔は私とトキヤの間に入って、トキヤの方を向いて…私に背を向けている。
私をかばうようにして。
「翔…どいてください」
「無理だ。もう譲れない」
もう…譲れない?どういうこと…?
「翔…。わたしは今、Aに用があるんです」
「用を済ましておかなかったお前が悪い。
今は俺達と一緒に話してる。だから…Aは行かねーよ」
私のすぐ前に立つ翔の背中は大きくて…
任せろ。って語っているみたいだった。
いつの間にか…身長高くなった?
前より…かっこよくなった…?
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鈴華(プロフ) - どれも続きが気になるものです。 (2016年10月22日 21時) (レス) id: d136d6ad0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キルア | 作成日時:2016年8月1日 0時