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「A、ちょっといいか」
食後、少しだらだらとしていると、カラ松兄さんに声をかけられた。
「こっち、ついてこい」
言われるがまま大きな背中についていく。
「階段、気をつけてな」
下への階段、地下?すごいな、この家。
階段を終えると少し薄暗い通路に着く。
降りてすぐ、左側にある部屋に案内される。
電気をつけると、部屋いっぱいに色々な武器が並んでいた。
「あ、私の」
その一つを指差すとカラ松兄さんが話し始めた。
「一応俺が預かってたんだが、返すタイミングを失ってな。少し遅くなったが返すよ。ここに置いといてもいいし、自分で持っててもいいぞ。」
申し訳なさそうに笑うカラ松兄さんからハンドガンを受け取る。
「ありがとう、カラ松兄さん。」
愛銃を見つめる。私に生きる意味を与えて、それを奪い、また与えた銃。私の人生と言っても過言ではない。
「それ、宝石か?」
カラ松兄さんグリップに装飾してある石を指して言う。
「うん、ダイヤモンド。昔の…知り合いがつけてくれたんだ。」
きらきらしてて綺麗だな、と笑うカラ松兄さん。
暫く武器を見せてもらっているとカラ松兄さんが口を開く。
「俺たちは、兄さんだからな、なんでも言うんだぞ、力になるから。」
たどたどしく不器用に言葉を紡ぐ。
なにか引っかかる言い方に私の過去を知っているのか、と言いそうになったがそんなことはないはずなのでぐっと我慢する。
「うん、ありがとね、カラ松兄さん。」
私の言葉にぱぁっと笑顔になる。この人は感情がすぐ表に出るな。そんなカラ松兄さんを少し可愛いと思いつつ、武器庫を後にした。
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作者名:ると | 作成日時:2020年12月21日 5時