第ニ十六話【甘く時々苦し】 ページ6
「アクィラにとって知らない土地で資金を運用するには危険な賭けだった。だから、一年だけであっても麻薬取引に名を馳せ、土地勘がある天城会と手を組んだ。まぁ、天城会としてでも、巨大な資金源を欲していましたしね。利害の一致というやつです。そして撤退から四年後......天城会はアクィラの支援を受け、この地に戻ってきた。流石に麻薬に手をつけるとポートマフィアの二の舞なので武器の密輸に手を出したようですね。武器ならば需要がありますし......巨大マフィアの援助ともあればそう簡単に手を出せる組織はいませんもの」
「す、凄い話ですね......でも、一体何処でその話を......?だってAさんは......"────
この世界に飛ばされて、まだそんなに時間も経っていない。なのに、短時間でこれ程まで調べ上げた。普通なら不可能だ。彼等が疑問に思うのも仕方がない。
「えぇ、知っていますよ。でも、これでも耳がいいのでね」
「......?」
「さぁ、頼んだものが来ましたよ」
私が顔を上げると、丁度喫茶店の店員が飲み物とデザートを持ってきた所だった。私達はそれらを受け取った。それから飲み物を口にし、敦と鏡花はデザートを美味しそう頬張った。私はその様子を珈琲を飲みながら見ていた。
「どうです?美味しいですか?」
「はい 美味しいです」
「うん」
「それなら、良かったです」
そう答えて貰えると、私も良い気分がした。
「Aさんはケーキ食べないんですか?」
そう訊かれて、私は珈琲に視線を落とした。
「甘いものが苦手でね。珈琲ばっかり飲んでた所為でしょうか?」
「そうなんですか......(此方のAさんは、甘いものが好きなのに......違う部分も出て来るのか......)」
敦が一口ケーキを口にした所で、敦は口を開いた。
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作者名:トキハル | 作成日時:2019年11月17日 14時