介さん ページ5
*
「あ、市春じゃん」
とある日の放課後。私は家に帰ろうとして門をくぐろうとした時、聞きなれた声がして私は振り返った。
クリクリとした癖毛に桃のようなピンク色の髪色。そして相変わらず眩しいような胡散臭いような笑みを張り付けている。身長はきっと伸びてないだろう。
「こんちわ、介さん」
「前々から思ってたんだけど、その介さんって何?」
「考えれば、分かるじゃないですか。小湊亮介の介ですよ。皆、亮さんって呼んでるから、私は斜め上の考え方で行ってみました」
私がそう言うと介さんは「相変わらず馬鹿馬鹿しい考えだね」と言った。介さんの毒舌も健在であるようで何よりだ。
「それにしても
「失礼な!死にもの狂いで頑張りましたァ!!」
ちょっとイラついたような感じで介さんに反論したらおもいっきりチョップを食らった。介さんのチョップは脳天が壊れるぐらい痛いから困る。
「春っち!めっちゃ凄かったんだって!こう…ビギューン、みたいな?」
「栄純君。それじゃ、分かんないよ」
声がすると思ったら昇降口から介さんに似た男の子とこの前の茶髪君。
茶髪君も私に気づいただろう。「あー!!」と私の方を指差して叫んでいた。
「沢村、うるさいよ。近所迷惑」
「すいません!お兄さん!」
「…兄貴……」
「兄貴?お兄さん?」
全くもって理解が追い付かない。介さんはこの二人のお兄さん?
「違うよ」
「いでっ!」
私の心をまるで読んだかのように私にチョップをしてきた。そしてピンクの方の男の子を指差して言った。
「あっちが俺の弟」
「…どうも。小湊春市です」
ペコリとお辞儀してくれるのをジーと見て思い出した。
「君、私にプリントくれた子だ!」
「気づくの遅いよ」
「ははは、ごめん、ごめん」
私が苦笑いしていると急に「沢村栄純です!」と大きな声が横からした。思わずびっくりして私は肩を震わせる。
「沢村、うるさい」
「痛い!!」
介さんにおもいっきりチョップされている沢村君には思わず合掌。
小湊君は介さんも名字小湊みたいだし春市君って呼ぶことにする。ついでに沢村君も栄純君でいいかな。
「春市君も栄純君も自己紹介してくれたから、私もきっちりとするよ。名前は結城市春。同じ一年生だからよろしくね」
私がそう言うと栄純君は「一年生!?」と驚いていて、春市君は「…結城……」と呟いていた。
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