真面目な僕と不真面目な君【チョロ松】

２話 ページ4

「あぁ、だるいなぁ…なんで私がこんな事…」

私は不満を言いつつ放課後の廊下を一人歩いている


先生に教材運びを頼まれた私は、文句を息をするように吐きながら少し薄暗くなった廊下を歩いているのだ
ちなみに、もう校舎には人っ子一人見当たらない

先生も私ぐらいになると可愛げがなくなり、仮にも女の子の私を暗い校舎に置いて行くらしい


なんて理不尽な世の中だ


「よいしょっと、はい終わり〜」


運び終わった頃には、空にチラホラと星が煌めいていた


「………………クッソ、襲われるじゃん…」



私が有名になった頃、家のポストに「背中には気をつけろ」ときったない字で書かれた紙が何枚も入っていた

冗談だ思ってたんだけど…まぁホントだったみたいで…


斬り付けられた

いやぁ、あの時はキレた


気づいたらあたり血の海だったんだもん
何したのか一切記憶ないし〜


「はぁ、夜桜綺麗だなぁ、っと！」

通常の女子では飛び越せないであろう生垣を楽々と飛び越え、近道をする



「いったぁあぁあ！…………おっと、怪我した」

捻ってしまった
私としたことが


まぁ、このままヤンキーに会ったとしても下っぱだろうし、大丈夫だろう



この時、私は知る由もなかった



私の背後にヤバい奴がいることを




ザシュッ


「！？う、おっと！」
「チッ、すばしっこいな」


声的に男
背丈的に大学生か


こんなか弱い乙女に向かって光物はないだろ〜


キラッと月の光に反射して、男が右手に持っている刃物の刃が光る



……………こいつ、刃物にばっかり頼ってて自分の力は付けてこなかったクチだ


「私にとっちゃ、あんたなんて弱い弱い」
「なっ……！？ゴホッ……！」

みぞおちに一発、あばらに二発

骨折したくらいだろうし、自分で病院行け



「はぁ、なんの準備もなしに私に挑んでくるからそんなことになるのよ。身の程知らずが」
「へぇ！やっぱ強いねー！！」
「！？」


誰！？と一瞬思ったが、すぐにわかった


この明るい声、言葉からはみ出す狂人ぶり



私の学年の、松野十四松だ


「………………ありがと、松野五男さん。ところで、あなたの兄弟はどうしたの？」

訊くと、暫く考え、わかんない！！と元気よく言う


変わった奴だ、と思ったが仕方ない
世の中は広い



「あのねー！！俺ね、君のこと見張らなきゃなんだー！！」
「へぇ、あぁそう…え！？」

今この天使から一番聞いてはいけないことを聞いた気がする


『私を六つ子が見張る』…………！？

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西 - この方角に福があるはずです

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