真面目な僕と不真面目な君【チョロ松】

９話 ページ11

「あのー…チョロ松さん…」
「何」


私は今私が六つ子専用に用意した部屋にいる。正確には、部屋の前に立っている
今部屋にはチョロ松しかいないようだ

他の松はどうしたのだろうか

「………ありがとう」
「？俺なんかしたっけ？」

覚えていないのか、無理はない
私が怪我してチョロ松が運んだのは一週間ほど前だ

「…運んで、くれたこと。感謝してる」
「…あぁ、あのこと」

さっきまで机に向かって喋っているのか、と言うほどこっちに興味を示さないで何かを書いていたチョロ松だが、こっちを振り返ってくれた

「…本当に感謝してる？」
「え？えぇ、まぁ……」

してないことはない
運んだのがチョロ松ということ以外感謝している


チョロ松はそれを察したかのように顔を歪ませると、まぁ入ってきなよ、と私を部屋に入れた
その時チョロ松がドアを閉めたので身長差があってドキッとする

いやいやいや、私何にドキドキしてるの！？信じられないんだけど！


「…脳内で失礼なこと考えた？」
「…別に」
「けなされた感しかない」

察しがいいな、チョロ松は


一人部屋なので結構広く見える
一人で突っ立っていると、座らないの？とベッドを指すチョロ松

逆に座っていいのか？



迷っていると、さっさと座れよ、という顔をしたのでお邪魔します、と小さく呟いてちょこんと座る


「…………なんでそんなに小さくなってんの…」
「だ、だって……」
「？」

？を浮かべるチョロ松から顔をそらしてベッドの端による

「何？言ってよ」
ずいっと私の近くに寄ってくるチョロ松からもっと離れるためにベッドの上に乗って端に逃げる


「……男子の部屋、初めて………」


きっと私の顔は今真っ赤だ
耳まで熱い


「…へぇ、そうなんだ……」
「へっ、何！？チョロ松！？」


次の瞬間、グッと寄ってくるチョロ松

「……Aの初めて、貰っちゃった」
「っ……言い方！」


なんかエ□い！

「ひ、ぁっ…！？」

チュクッと音がして、私の耳を舐めるチョロ松

私は昔から耳が弱く、息を吹きかけられるたびに反応していた


チョロ松に弱みを握られたら…ッ！


「………Aってさ、」

来る

「耳弱いの？」


ああぁあぁぁああああ



ニヤッと口角を上げるチョロ松を睨んで、弱くないと呟く

かなり無理があると思うが、言わないよりマシ


「……嘘。だってさ？」
体を近づけて耳元でチョロ松は言った


「耳元で話すだけでビクビク反応してるし」
「言うなああぁあ！！！」
「うぶっ……」

チョロ松の部屋から即逃げた私だった

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