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色々な話を聞いていくうちになんだか楽しくなり、大きく頷きながらジゼルはリヴァイに質問をする。
「壁外調査も色々な事を踏まえた上で行われているんですね…。何だか、無事に帰ってこれたのが奇跡というか、夢見たいというか…。」
「ああ、そうだろうな。お前のような理由で壁外に参加したのは異例中の異例だ。俺も聞いた事がねぇ。」
「ですよね。ほんと、あの時は助けてくれてありがとうございました。」
「もういい。何度も礼を言うな。」
「で、他にはどんなお話をっ?」
椅子に座り直したジゼルが身を乗り出す。金色の目が輝いてリヴァイを食い入るように見詰めた。リヴァイは美しく繊細なジゼルの瞳に息を飲み込んだ。
こいつはこんなに積極的なやつだっただろうか、と振り返ってみるがあまり覚えていない。
「……新しく拠点を置くにあたって作戦地域の地形や気象を実際に確認したりと、まぁ主に陣地配置だろうな。それでいつもエルヴィンと揉める。」
「エルヴィン団長と?」
「あまり揉めてる印象はねぇか?」
「んー…はい。リヴァイ兵士長はエルヴィン団長に忠実ですから。勿論、いい意味で。」
「そうだな、色々あったが今ではあいつは信頼に足る人間だ。俺は誰よりもあいつを信頼し、尊敬している。性格は糞だが…。」
「でもどうしてエルヴィン団長と…?」
「…あいつが糞程真面目だからだ。」
「……。」
「……犠牲を最小限に抑える為の俺だ。俺を最も危険な位置に配置させるのが妥当だ。それなのにあいつは物資を護れだの、どうでもいい任務を俺に言渡す。あいつなりに考えはあるんだろうがどうにも納得出来ねぇ。」
最終いつも言いくるめられる、と眉根に皺を寄せたリヴァイが不意にも可愛く見えてしまって口元を隠し、ジゼルが笑う。
肩を揺らしながら笑っていればリヴァイがジゼルを睨む。なにがおかしい、と訴えてくる三白眼はとても鋭い。だが、どこか優しさが含まれている。
その証拠にリヴァイがジゼルの頭を撫でる手はとても暖かくて優しい。
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月30日 13時