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そして次にジゼルの視界に入ったのは汚れひとつない立体機動装置とは遥かに見た目も違う立体機動装置。紛れもない、リヴァイ兵士長の物だ。
新型立体機動装置の点検はジゼルに任されている。誰かがジゼルの近くに置いておいてくれたのだろう。ゆっくりと重みのある新型立体機動装置を手に取り、色々な角度から点検していく。
流石リヴァイ兵士長だ。修理するところがない。それどころか傷一つもなくて改めて人類最強と言われているリヴァイ兵士長の凄さが身にしみた。大切に使ってくれているというのが嬉しくて新型立体機動装置を撫でながらクスリ、と笑った。
そして報告書に目を移し、リヴァイ兵士長の名前を記入した。勿論、修理内容の欄は空白、だ。
「ほう…。どこも壊れてねぇのか。」
「！」
低くて、だけれど心地よい声に肩がビクリ、と揺れた。後ろを振り向けばそこには目を細めてジゼルの持つ報告書に目を通していたリヴァイが居た。
三白眼の目が書類を見下ろした後、流れるようにして呆気にとらわれているジゼルに向けられる。
「…あのクソ眼鏡の立体機動装置が不憫だな。」
「……え、っと…、リヴァイ兵士長？どうしてここに…？確か今日は大切な会議があると聞いていましたけど…、」
次回の壁外調査の陣形配置や新拠点、予算についての会議があると、ほかの兵士たちから聞いていた。会議と言っても兵舎内にある会議室での会議だが上官しか参加することは許されない。
朝からハンジさんが遅刻だ！！！と叫んでいたのを思い出しながら目の前にいる無表情のリヴァイを見上げたジゼル。
「会議ならとっくにお開きだ。作戦立案は俺の仕事じゃねぇ、俺はエルヴィンの言った事を遂行するまで。」
「そう、なんですか。会議というのはどういった話を？」
矢張りこういったことを聞くのは不味かっただろうか、と静かにジゼルを見下ろすリヴァイから視線を逸らした。
「……各班にそれぞれ別の任務が与えられる。そいつらに見合った任務がな。」
「任務、ですか？各班って事はつまりリヴァイ兵士長も班を持つということですか？」
「実力のある一般兵を引き抜き、俺の班に入れるという話も出ていたが、生憎俺は単独の方が任務を遂行しやすい。勿論、断った。」
「そうなんですね、てっきりエレンはリヴァイ兵士長と一緒に行動すると思っていました。」
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
