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部活に入ると、大学の推薦が楽になるらしいとの噂を耳に挟んだ私は、県内トップを死守する稲荷崎の男子バレー部に部活見学に来ていた。

自分がプレイヤーになるのは気が引けるけど、選手たちのサポートなら任せてほしい。

強豪校は練習のレベルも高く、掛け声やボールの音が響く中で何人かの女の子たちとは少し離れた位置で見学する。

あ、あれ、北さんや…。

そう思って、彼のセットアップを眺める。

篤実…質実剛健…そんな言葉が似合う、真面目な人やな。

「あれ、Aやん」

あまり聞き馴染みのない声に顔を上げると、そこには同じ顔をした二人が立っていた。
な、なんや自分、ドッペルゲンガーか。

なんて、一瞬思ったものの、しっかり思い出す。宮兄弟。銀髪の方は、私の同じクラスやった。

てか、会って早々名前呼びかいな。モテる男はやっぱちゃうなー。

「宮やん。隣は噂のイケメンセッターくんか」
「え、俺のこと知ってんの?」
「私、中学ではプレイヤーやってたからな。バレー界では有名やろ、あんた」

そう言うと、宮侑は、めっちゃ嬉しそうな顔をする。

ギャラリーで部活を見学していた女子たちは、宮兄弟を見てキャーキャー言い始めた。
あかんで、あんたら。多分、北さん、めちゃくちゃそういう女嫌いやと思う。

…あ、ほら。めっちゃこっち見てる。あの人の真顔怖すぎやろ。

「Aチャンは、女バレじゃないん?」
「うん。プレイヤーはもう楽しんだからな。次は支える側…と思ってんけど、敵が多そうやから、別の部活見に行く」
「えっ」

それに、例えマネージャーとしてこの中から選ばれたとしても、めちゃくちゃ恨み買いそうや。

平々凡々な学園生活。それが、高校の目標や。

中学の頃は、ちょっと暴れ過ぎたっていうか…まあ、結構有名やったというか。
父親の転勤のせいで、宮城におったから、宮城では結構有名になってん。

「ほな、さいなら」
「ちょ、待ってやAチャン!」
「侑くん、やっぱり男バレ入るん?私も侑くんのこと支えたいから、マネージャー立候補しよかな〜」
「治くんも一緒に入るんやろー?」
「ちょ、どけや!Aチャン、待って、」
「侑くん!」

おーおー、よおモテとるやないか。
頭の上の数字もごっそり減って……あれ?なんか、今増えたな。

ま、私には関係ないことやし…。

とりあえず、私はギャラリーから降りてバスケ部を見に行くことにする。
バレー部ほどじゃないけど、強豪やったはず。

ルールわからんけど、まあ、どうにでもなるやろ。

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2024年3月6日 3時

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