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執事が三十人 ページ32

「いやー、はは、まさかこんなすぐ治っちゃうなんてね〜」
「…でもお嬢様、王族は死刑、と…」
「あら、知らないの?実は私、王族とは縁を切ってるの」
「は!?」


いつもの原っぱで2人で座り込んで話す。
チョロ松のお尻の下には相変わらずハンカチが置かれているけど。

私は義母に嫌われて、遠縁になっていた。

そしてあの反乱が起きる前に、縁を切っていたのだ。
でも皇后が王族と縁を切ったなんて、民衆に知られたら大変なことになる。


だから私は宮廷で肩身狭く過ごしていた、と言うわけだ。


「だから私は王族じゃないのよ」
「ほぉ〜……そんなことがあったんですか。何かあったら手紙を、と何度も言ったじゃないですか」
「だって…私、隔離されてて……召使いだってほとんどいなかったし、それに、手紙を遅れるほど自由な暮らしも…「あー!もう!わかりました……」ほんと?」


わかってくれて嬉しいわ、と笑顔で返すと、耳まで顔が赤くなる。
そんな顔を見て、あぁ、昔を思い出すなぁ、なんて思い出に浸った。

もう歳は違うけど。私は潔白じゃなくなったけど。


潔癖症のあなたは、私を見捨てたりはしなかった。


「あ。少し気になってたんだけど…」
「なんでしょうか?」
「チョロ松、潔癖症なのよね?どうして私の血は大丈夫だったの?」


そう聞くと、なんででしょうか、とチョロ松も頭を捻る。
なんだ、それは。

答えがないと言うのはなんともムズムズする。


もしかしたら、なんて期待が浮かんでしまうから。


「…お嬢様の血は…汚くはない、ですから」
「……不思議ね、人に触れただけであんなに嫌がっていたのに。いつのまに体液まで大丈夫になってしまったの?」
「いえ、今でも無理ですよ」


だったら、と言った私の唇を、指で塞ぐチョロ松。

え……。


「…それは、私がお嬢様のことを慕っているから、とお考えにはならないんですか?」
「っ……!」


今度は私が赤くなる番らしい。
耳まで熱い。


思わず目を逸らした私の顔を両手で包んで、自分の方を向かせるチョロ松。

それは一瞬だった。


ちゅ、と唇にあたる柔らかい感覚。


すぐ離れたけど、口には確実に残っている。



「ぇ……」
「潔癖症ですけど、お嬢様とならこう言うこともしたいと思います」



もう一度言わせていただけませんか、と言ったチョロ松は私の髪を指で掬う。



「私は、あなたが好きです。愛しています。もう一度、私と一緒に人生を歩んでいただけませんか?」



もちろん、答えは____……。

執事が三十一人→←執事が二十九人


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松々先輩(プロフ) - Eternitypine???????? ??さん» お気に召していただいたようで良かったです☺️ありがとうございます! (2022年9月17日 14時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
Eternitypine???????? ??(プロフ) - 辛い皇太子の言葉にグッときた😢あとチョロ松が誕生日のところ……グッハァあざっす笑ってなりました!良かったです! (2022年9月14日 20時) (レス) @page39 id: bf371f885b (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - Rain☆さん» 確かこの前も一松のトリップ作品でコメントしていただきましたよね!ありがとうございます! (2020年5月15日 20時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - このお話好きです!!チョロ松推し… (2020年5月15日 17時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 兎羽さん» ありがとうございます!!ずーっと綺麗な終わらせた方を考えていたので嬉しいです…! (2020年3月17日 22時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年7月21日 0時

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