カラッポ【カラ松】

Thirty one episodes ページ34

「あっ」
「あ」


トト子の買い物を待つ間、カフェに入ってコーヒーを飲んでいると、まさかの蠧魚君と遭遇
どうしたの？と訊くと、カラ松先生と待ち合わせで…とへにゃっと笑う


「さっきまで一緒にいたんですけど…あ、て言うか凄いですね、カラ松先生……」
「あー……ファッションセンスの話？」


キラッキラのスパンコール？と訊くと、真面目な顔で頷く

まぁアレ初めて見た人は結構驚くよね…
私なんて自分の目がおかしくなったのかと思った


ココア？と蠧魚君の頼んだ物を見る

甘い香りがして来るから…ココアなんだろう


「あぁ…苦いの苦手で…」
「蠧魚君ってたまに女の子みたいだよね〜」
「家庭科担当だからですかね？よく言われます」


はは、と軽く笑った蠧魚君は、カップを口に当てる

カップを持つ手を見て見ると、細いけどゴツゴツしている男の人の手で、まぁ男だしね、と自分の手を見る


「A先生、愛されてますよね…」
「は、はぁ？誰に？一松？おそ松？」
「違いますよー。なんでその二人なんですか？カラ松先生です」


困ったように笑っている蠧魚君
……そっか、私達の複雑事情知らないんだ


そうかな？と首を傾けてカップに口をつけると、口の中にコーヒーの苦い味と良い香りが広がった


愛されてる……かぁ…


周りにはそう見えなくもないのか…

まぁカラ松よく私に『愛してる』って言うもんね


……私は、愛されてる気がしないけど


「蠧魚〜！と、honey！」
「キラッキラしてますね、カラ松先生……」
「カラ松」


honey浮気か！？と涙目になるカラ松

偽りの涙も流せるんだね……


「浮気？するわけないじゃない？私が好きなのはカラ松だけよ」


そう言ってコーヒーを飲み干す

もうすぐトト子の買い物も終わる頃だ


じゃあ私行くね、と荷物をまとめる


「良いんですか？」
「え？あ、あぁ良いの。トト子怒らせちゃ怖いじゃない？」


蠧魚君が私たちを見比べる

「honey！アイシテルぞ！」


去り際、後ろからそんな声が聞こえる

少し振り向くと、なんとも言えない表情で笑っているカラ松が


「……えぇ、私も……好きよ」


あと何回言えば届くかな？

好きってどれだけ伝えれば良い？



そんな疑問も声に出せないの


私はそこまで弱いから



「……じゃあ、また」
「じゃあね」


手を振る蠧魚君に手を振り返す


横で微笑んでいるカラ松をチラッと見るけど、やっぱりどんな感情かは読み取れなかった

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