カラッポ【カラ松】

Thirty two episodes ページ35

「おまたせ〜」
「もう遅いー」


ごめんて、と笑ってこれトト子の分ね、と買っておいたコーヒーを渡す
ありがとー♡と受け取ったトト子は、可愛い唇でコーヒーを飲み出した


「そう言えば、さっき蠧魚くんと会ったわよ？」
「え？」
「A先生見かけませんでした？って言ってたけど…ちゃんと会えた？」


蠧魚君……めっちゃ偶然って感じだったけど…

会えたわ、と言ってパッと後ろを見る


もう二人の影は無くなっていた


「……」
「Aー？」
「あ、今行く」


待って、と声を上げて、トト子を追いかけると、ドンッと誰かにぶつかった


「ご、ごめんなさい！」
「いやこちらこそー…って、Aとトト子ちゃんじゃん」


顔を上げると、ニコッと笑うあひる口


「トド松！何してるの？」
「僕はねー、友達の女の子達とショッピング♡」
「へぇ……楽しそうね」
「そう言えば、さっきカラ松兄さん見かけたけど……」


声はかけなかったの？と聞くと、なんで僕が？ときゅるんとしている

うん、そうだよね……知ってた



「で、今は何を？」
「ちょっとA見かけたからさー？女の子またせちゃってるし、もう行くね？」


それじゃあ、と手を振りあって、トド松は女の子の方に


「あざといわねー」
「ふふ、そうね」


あの子誰ー？と聞かれて適当に返しているトド松を見送り、私の下着を買いに行くことに


別にいらないんだけど……



「Aはやっぱり青かな〜」
「青……」


似合ってるわよ、青

そう言って私を見据えるトト子


ありがと、と笑って、下着に目を戻す


「……青かぁ…」
「……嬉しそうね？」


惚気なら他所でやってよね。と口を尖らせるトト子

惚気なんかじゃ…と言うけど、信じてもらえてないんだろうな……



そのあとどうやって家に帰ってきたか覚えていないが、手には沢山の下着と服が持たされていた

……ん？


ー旅行当日ー


「あれ？早いね蠧魚君」
「あは…ちょっと楽しみすぎて……」


照れ臭そうに笑う蠧魚君の横に座る

朝八時、時計塔の近くのカフェで待ち合わせだ


家から近かったので、私は早く着くだろうと思っていたが、蠧魚君がここまで早いだなんて


「蠧魚君何飲んでるの？美味しそうね、それ」
「あぁ、新発売の商品なんです」


一口どうですか？と差し出されたカップ

少し飲むと、ミルクの甘い香りが口いっぱいに広がってとても暖かかった



こんな気分を味わったのは、いつぶりだろうか？


ねぇ、いつから私たち、冷めてたのかな

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