カラッポ【カラ松】

Fifteen episodes ページ18

サーッと降り注ぐ雨を眺める
しばらくは雨なので、体育ができないのだ

その代わりに保健をやる

「……A？」
「！え、あぁ……十四松、おそ松……」

なかなか珍しい組み合わせに驚く

「おそ松、次は英語の授業じゃないの？」
「うん。忘れ物しちった」

本当、昔から変わってない…

「十四松もでしょ？こんなとこで油売ってる暇ないじゃない」
「骸骨取りに来た！！」
「仮にも理科教師なら、人体模型くらい言えるようになってね」

人体模型にも色々あるけども…

「Aは何しに行くの？」
「んー、特に何も。考えてなかったけど？」
「んじゃ俺とデートしよ！」
「は？」

今から授業じゃボケ←

何のろけたこと言ってんだか、おそ松が手をクイクイ動かした

パチンコかよ！

「パチンコは行かない。デートなら行ってもいいけど…休みの日にね？」

少し呆れつつも息抜きも大切だと思う
おそ松はまぁ結構デキる先生だし、まぁ大丈夫

「…………あ、そうだA」
「ん？」

別れ際、おそ松が私に振り返って話しかけてくる

私も振り返っておそ松の顔を見た


「…カラ松は良いの？」
「………え？」


なんで、訊いちゃうの？

私は今それを思い出さないようにしていたのに


「………えぇ、カラ松は大丈夫よ」

大丈夫

だって、別に私のことを好きなわけがないカラ松が、おそ松とデートしたからって嫉妬すると思えない

だから良いの


それに、おそ松といると楽だしね


「………そっかぁ。じゃあ今度の休み」

Aとデートするって考えたら仕事頑張れそう！と笑ったおそ松に、何言ってんのよ、と笑顔で返して歩き出す

授業中だからか、やけに静かな廊下は、休み時間の騒がしさを思わせない


そこを音を立てずに歩く


ドンッ

「わっ！」
「あ、ごめんなさい！」

廊下を曲がるところで誰かとぶつかってしまう

「ん？honeyじゃないか」
「！ぁ、カラ松…」


廊下でぶつかったのはまさかのカラ松
キョトンと首を傾ける姿は、純粋無垢な子供のよう

「久しぶりね、カラ松。元気だった？」
「あぁ、俺はすこぶる元気だ！！honeyも元気そうで何よりだ！」

ニコッと笑いかけるカラ松に、はは、と乾いた笑いで返す

「……honey、何かあったのか？」
「え！？ヤダ、なんで？そんなことないわよ」

顔に書いてるぞ、と額をコツンとノックされる

やっぱり、お見通しなのね…

「もうヤダ、そんなことないわよ。ほら、授業遅れるわよ？」
「……あぁ」

私はわざと、はぐらかした

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