白熱 ページ23
.
白熱の一戦は、残り時間あと五分！
選手たちの疲労もだんだんプレーにあらわれてきた頃、それでもなお、ボールを追いかけて両者は激しい試合展開を見せた。
【稲森抜けたー！！】
死力を振り絞り、倉掛との競り合いを制したのは明日人であった。実況者の、いつもより熱く語る声が会場の熱気を最高潮にまで引き上げる。
「シャイニングバード」を打ち放った明日人を前に、両腕を組み"その時を待つ"砂木沼。
余裕綽々といったところだろう。
そして万全の体勢で迎えうった砂木沼の「ドリルスマッシャー」は、いとも簡単に明日人の必殺技を弾き返してしまった。
ベンチで見守っていたマネージャーたちも一つ一つが気が気ではない状態だ。
「あぁ〜！惜しい！」
額に手をあて、悔しがるつくし。
「あと少しだったのに...。」
眉を下げ、残念そうに杏奈も呟いた。
「ゴールが硬い...あれじゃいくら打ち込んでも、明日人たちの体力が持つか...。」
汗を拭い、肩で息をするのもやっとな選手たちを見守りながらAが口を開いた。
両チームの疲労はピークに達していた。
−−−恐らく次の一点で、勝敗は決するだろう。
ヒロトへとボールが繋がれ、勢いよくうち放たれた「ザ・エクスプロージョン」が雷門キーパー、のりかを襲う。
「マーメイドヴェール！」
しかし、雷門の守護神であるのりかも負けてはいない。砂木沼に負けず劣らず、彼女もなんとかヒロトのシュートを食い止めた。
【お聞きください、この大歓声を！両者が全力でぶつかる熱い試合に、スタンドも揺れています！】
一進一退の攻防を前に、実況者も思わず立ち上がるほどのこの白熱とした試合。観客達も固唾を呑み、選手たちへの観戦も忘れなかった。
ベンチでじっと座っていたつくしでさえ、会場の空気に押されて立ち上がる。
「すごい...すごいよ この試合！私も、いてもたってもいられないくらい！」
自分でも信じられないと言った様子で両腕を大きく広げて高まった気持ちをあらわしていた。
「見てる私たちもドキドキする。」
脈を打つ鼓動を確かめるように、胸に手を当てた杏奈。
「きっと、ここにいる全員が同じこと思ってる。こんないい試合、そうそう観られないもの。」
杏奈、つくし、コーチ、監督が口を開いたAへと視線をうつした。
「終わってほしくない、ずっと見ていたいって！」
彼女のその言葉に、誰も意見する者はおらず、杏奈やつくしも同意だと言わんばかりに頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 234人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小雪
| 作成日時：2018年8月10日 20時
