僕の大好きな君 2

きっかけ-F-2 ページ20

一度行ってからはみっくんの家にも良く遊びに行くようになった

ラグとテーブルと、ベッドだけが置いてある、シンプルで、でもとてもみっくんらしい、センスのいい部屋


時には遅くまで食事した後泊まらせてもらったりもして、まるで空白の5年間を取り戻そうとでもするように空いた時間はいつもみっくんと、
会わない時は渉と、
一緒にいるようになった


ある日、バイトが休みのみっくんと待ち合わせして、みっくんの家でお互いにのんびりしていると、みっくんの叔母さんから電話が入った


「え？
お母さんが？！」

みっくんの青い顔を見て、どうしたのか尋ねると、

「ごめん、太輔
お袋が具合が悪いみたいで、俺、行ってくる」

「もしよかったら一緒に行っていい？」
聞くと、少し迷ったあと、こくんと頷いた

その日はたまたま父親の車を借りて来ていたので、急いで駐車場に行き、ふたり車に乗り込んだ

「………」


黙りがちなみっくんをちらちらと盗み見ながら、注意して車を走らせる

みっくんから知らされた場所は比較的大きな心療内科のクリニックで、迷ったが俺も中まで一緒に行くことにした

どうやら今は面会は出来ないようで、先程まで手続きをしていた叔母さんに会って様子を聞くのだそうだ



「みっくん」

みっくんの心配そうな顔を見ていたら、きっと大丈夫だよ、なんて安っぽい言葉は言えなかった

なんとかしてあげたくて、みっくんの背中をさすると、まだ青白い顔で俺を見上げる



「いっしょにいるよ」




言うと、見る見る真っ赤になる目を隠すように何も言わずに俯いた

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