僕の大好きな君 2

きっかけ-K-2 ページ22

「ここで待ってるね」

と、飽くまでもひとりにしない言い方で、俺の肩に触れた太輔に力を借りて、叔母さんのところに向かう

もう薄暗い待合室に座って、待っていてくれるつもりのようだ


外来を抜けた、次の建物が入院病棟になっていて、その入り口で叔母さんが待っていた


「叔母さん、お母さんはどう？」

駆け付けて訊くと、



「ごめんね、心配かけて
もう落ち着いてる

お医者様もいつものめまいの発作だけだって

身体のどこも特別悪くないし、
久しぶりに仕事を始めたから、疲れが出たんだろうって

本人の希望で、2〜3日入院させてもらうけど、すぐに帰れると思う」


「……よかった……」


ひとたび入院すると、このご時世、面会は出来ないから、あとはメールや電話で連絡を取るしかないけど、ひとまず安心した

でもこの後のことをおばさんと相談しないといけない

「友達が送ってくれて、待っててくれてるから、帰ってもらうように言ってくる」


ガラス越しに、ベンチに座っている太輔が見える
ここに来てくれただけで、どんなに心強かったか


一刻も早く安心して欲しくて、足早に太輔のところへ向かう


「太輔、母さん大したことないみたいで

でも入院するから、叔母さんといろいろ相談していく

先に帰っていて

また連絡するな
送ってくれてありがとう」


「良かった…

ありがとう、みっくん
俺のこと気にしないで、早く叔母さんのところへ」


「……うん」


そう言われたが、俺も離れ難くて、車まで一緒に向かう


「お袋、ひとりでがんばりすぎちゃうから、時々こうなっちゃうんだ

いつものこと、と言えばそうなんだけど…

ずっと、こんなことなかったから」


「…うん

いつもひとりで、心配だったよね、みっくん……」

優しい言葉が、身体全部に染み渡っていく

「ごめんな、こどもみたいに…」


「おとなとかこどもとか関係ないよ

俺も同じ立場なら、絶対に不安だよ

俺にできることがあったらなんでもするから」

「太輔…」



「みっくんの心配、分けてくれてありがとう」



心細かった俺の心を、太輔は優しく包んで温めてくれるみたいだった



この日をきっかけに俺と太輔の気持ちの距離は、


今までよりももっともっと、



近くなった

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