【あんスタ短編集・完全趣味】 (ページ13)

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Knights the Phantom Thief 4 ページ13

城に戻った彼らは王様と女王…いや、空っぽの王座を部屋に残す。

なんとなく楽しそうな声が聞こえる。彼は、彼らは。笑っていた。

そんな彼を心配そうに仲間がこっそり見ていることに彼は気が付いていた。

もう何年も、だ。

そろそろ彼らにも自由になってほしい。すごく優しくて、自分がどれだけ支えられたか。
恩返しがしたい。返しても返しきれないこの感謝を。

「ねぇ、女王…？」

「俺ね、今日で女王のお気に入り全部集めたんだよ…スオ～の言うところのmissioncompleteなんだ…だからさ、」

その言葉に全員が息を呑む。

「そろそろ、そっちに行ってもいいかなぁ…？」

なんだかその声は震えていて。

今にも消えてしまいそうだった。

例えるなら、あの100番の薔薇のように。

暫くすると、ドアを開ける音が響いた。

それは。もう何年も開けていなかったことを告発するような軋んだ音。

…止めることが出来たものなんて、誰一人いなかった。

そして彼は。

月明かりの元で彼女の棺桶に寄り添い眠るように。

長い永い夢でも見るかのように。

幸せそうに息を引き取った。