スプーンいっぱいの勇気。 【Ra*bits】

お礼 ページ30

ラッピングしたクッキーを手にガーデンスペースで月永先輩探しをしに来ました。


昨夜焼いたクッキー。そこそこの出来だと思う。昨日、不味かったら作り直さないといけないと思い味見をしておいたが悪くなかったはずだ。


｢インスピレーション…☆｣


楽譜が飛んでくる。なんだか既視感があるぞ。


楽譜を拾い集めて声のした方へ向かうとやっぱりそこには月永先輩がいた。作曲中の様なので声を掛けるのもはばかられる。


少し待っていると、


｢ん？あれAじゃん！うっちゅ〜☆なんでいるんだ？あ、答えないでね、妄想するから！｣


｢はい、うっちゅ〜です…？あ、楽譜飛んでましたよ｣


楽譜を受け取って少し考えるような素振りをしていた。


｢おお！ありがとう〜！…はっ、分かったぞ！Aも宇宙人と交信しに来たんだな！｣


｢違いますよ〜曲のお礼をしに伺いました｣


どうやら約束を覚えていなかったらしい。と言っても、いる場所を聞いて勝手に出向いただけなので約束と言えるかも怪しいのだが。


｢ああ！そういえばそんな話もしたかもな〜？｣


そんな会話をしていると、茂みが揺れる。


｢おお？なんだなんだ〜？宇宙人か？！｣


｢誰が宇宙人だって？王様、俺の寝床で大声出さないでよぉ…響くから…ふわぁ…♪｣


黒髪の気怠そうな方が出てきた。…どこかで見たことあるような…？いや、アイドルとして活動してるのを見たことがあるのかな…？


でも会ったことあるような気がしないでもない。


｢何？あ、てかアンタ、この前は〜くんと一緒にいた…アンタのせいでは〜くんの歌声聞けなかったんだけど？｣


｢すみません…？｣


｢謝って済むなら警察はいらないって言葉知ってる？｣


う、怖い…いや、失礼に当たるというのは分かるのだけど…


｢こらこら、あんまり後輩をいじめるなよな〜リッツ？｣


リッツ…？


｢あ！もしかして朔間先輩の…？｣


謎が解けて、思わず声が出る。ちょっと前に朔間先輩が可愛い弟だと言っていた。
すると、元々不機嫌そうだった顔が更に不機嫌…というか嫌悪感で満ち溢れる。


｢違うから。あれの弟だと思われるのは心外なんだけど。｣


｢あんまり言うとレイが悲しむぞ〜？ほらほら、怒ってないでクッキーでも食え！うまいだろ？Aの手作りだぞ〜｣


私の作ってきたクッキーを凛月先輩に食べさせていた。


｢すみません…もし良ければまだ有るので…｣


｢悪くないんじゃない？有難く貰っとくよ｣

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