スプーンいっぱいの勇気。 【Ra*bits】

行動 ページ23

「失礼します」


コンコン、とノックしてみる。
しかし、返事がない。


もう帰ってしまったのだろうか…？
しかし耳を済ますと、ここ数日で耳が覚えたRa*bitsの曲が微かに聞こえてくる。


意を決してドアを開ける。すると、汗だくになりながら切磋琢磨する仲間の姿が。


集中しているようでこちらに気が付かない。
集中を遮らないよう静かに入り、タオルや水を用意する。


この動きもなんだか慣れてきたなぁ…
一週間ほどしかしていないはずの動きなのに、ずっとこの仕事をしていたような馴染み方でなんだか感慨深い。


「よし、ちょっと休憩にするぞ〜！…あれ、Aちん、来てたのか！用事はもう大丈夫なのか？」


「はい！あ、水とタオルです！どうぞ〜！」


「おうっ！ありがとな！」


「あれ？Aちゃん今日は紙をたくさんもってるんだぜ〜？せぇとかいの書類とかなんだぜ？」


体力の有り余っていた光くんが練習室を走り回ってこちらに来て楽譜を指差す。


「休憩ですよね…！ちょうどよかったです！実は今光くんが指を差してるものを見せたくて…」


「えっと…楽譜、ですか？」


「はい…！これを見つつ、これを聞いて欲しくて…！」


レコーダーを起動し、先程弾いてもらった曲を流す。
やっぱり綺麗な音だなぁ…演奏も綺麗だし…本当にありがたい。


「わぁっ…！綺麗な曲ですね…！これ、僕達にですか？」


「うん！さっき知り合った先輩が書いてくださって…今回は厳しいかも知れませんが…勝手に動いてしまってすみません…！」


「ああ。いい曲だな〜レオちんの曲か…？そうだな、できれば相談して欲しかったけど…Ra*bitsのために動いてくれたんだろ？ありがとな！」


少し怒られちゃったけど褒めてもらえて嬉しくなってしまう。


「月永先輩と知り合いなんですね！すみません…これからは気をつけます！ところで、お月見祭の衣装の予定ってありますか…？」


「ああ、同じクラスだぞ〜衣装は資金もないしユニット衣装の予定だったけど…」


「折角なので作らせていただいてもいいでしょうか…？」


「新しい衣装かぁ〜楽しみなんだぜ〜！」


「今からって大変じゃないか…？」


「大丈夫です！やらせてください！」


「じゃあ、たのんだぞ！」


「はい！」


衣装って聞いた時、みんなの表情が少し綻んだような気がする。期待に応えるためにも頑張らないと…！

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