1話 ページ1
「先輩!これ貰ってください!」
「ありがとう。お昼ご飯の後に食べるね。」
「ズルい!私も作ったから貰ってほしいのに…。」
「喜んでいただくよ?」
昼休み、廊下は女の子たちで埋め尽くされている。
女の子たちは半円を描くように集まっている。
「おーおー、今日1年が調理実習だっけ?」
「そうね、黒子君たちがそんな話してた気がするわ。」
そこに偶々通りかかった男女。
男は眼鏡をかけて少しツンツンした髪型をしている。
女はショートカットで前髪をピンで留め、大きな瞳をしている。
誠凛高校バスケ部の主将、日向順平と監督の相田リコである。
「あ。やっば、見すぎちゃった。Aと目が合ったわ…。」
「あーあ。はよ助けに行ってやれ。」
2人してため息をつきながら、リコが女の子たちの中心にいる人物に近づいていく。
「ほーら。お昼食べに行くわよA。」
「ということなの。ごめんね、友人からの誘いだからお昼ご飯に行ってくるね。」
中心にいた人物は女の子たちに見送られながら、リコと共に順平の元へ戻ってきた。
「今日も大変だなぁ。女王様は。」
「やめてよ。ただ女の子がみんな期待してくれてるのに答えてるだけだよ。」
「けっ、そんなこと言うならファンの1人くらいバスケ部のマネージャーにくれよ。」
「そんな言い方してるからモテないんだよ。」
「うるっせ。」
冗談を言いながら3人は渡り廊下へと続く道へ歩いている。
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作者名:藍凛 | 作成日時:2018年10月14日 1時