【第4章】愛してるって言われても困る。【東京卍リベンジャーズ】

きっと大丈夫 ページ5

「万次郎…！」




三つ編みさんと竜胆さん(三つ編みさんがそう呼んでた)と一緒に塔の上に登ると、下にいた時には見えなかった中心にある廃車の塔のてっぺんが見えた



そしてそこにいたのは男2人に抑えられ、一虎に鉄パイプで殴られ続けている万次郎だった




そこでようやく納得がいく。一虎の、あまりにも非道な行為に、目につく範囲にいた人達は喧嘩の手を止めてそれを見つめていたんだ




よく見れば堅が修二くんと殴り合っているのも見える。多分、堅が万次郎のことを助けに行こうとして、修二くんがそれを邪魔している




「お前、無敵のマイキーと知り合いなの？」




三つ編みさんと竜胆さんの大きな背中の後ろに隠れている私に、さっきの呟きが聞こえていたのか三つ編みさんが周りに気づかれないように前を向いたまま質問をしてきた




初対面でいきなり背後から抱きついきて、面白い女を捕まえたとかなんとか言っていたから、正直やばい人だと思っていたけど、意外としっかりしている所もあるらしい




「…まぁ」




この場にいるという事は2人も有名な不良なのだろう。きっと東卍と芭流覇羅の抗争の見学に来ているんだ。幸い私が東卍の総長補佐であるということは気付いていないようだったし、あえて言う必要も無いと思った私は彼からの質問を濁すように答えた




「その割には落ち着いてんな」




三つ編みさんと同じように前を向いたままの竜胆さんの言葉に、なんと答えれば良いのか分からずに言葉に詰まる




竜胆さんは三つ編みさんと違って会った瞬間から「信頼しても大丈夫そうだ」と直感で思ったから思わず頼ってしまったが、彼の方はまだ私のことを警戒しているようだった。確かに、抗争にいきなり現れた女に理由はいえないけど隠れさせて欲しい。だなんて頼まれたら誰だって疑うのが当然だ




「万次郎は、強いですから」




竜胆さんは、多分知り合いが一方的に痛め付けられているのに何も思わないのか、と言いたかったんだろうけど、正直そこまで心配はしていない。どんなに体力が奪われていたとしても彼の喧嘩のセンスや体力の多さは天性のもの。昔から彼を見てきた私には分かるのだ。万次郎があの程度の男2人から押さえ付けられただけで動けなくなるわけがない




多分、あえて一虎からの攻撃を受け入れてる。直感でしかないけれど、そんな気がしたから

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