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じめじめとした梅雨空が続く６月のある日。
数日前から多少の息苦しさや咳の症状に悩まされていた五郎は、朝から明らかな不調を感じていた。
「やばい…薬…」
もともと梅雨時期や季節の変わり目には発作が出やすい。
そして、慣れたとはいえ新しい環境での生活に、少なからずストレスもあったはずだ。
それなのに、ここしばらく吸入もサボってしまっていたことを思い出し、五郎は頭を抱える。
慌てて吸入をし、錠剤のシートからプチプチと2錠取り出すと、水も飲まずに飲み込んだ。
(発作で出ませんように…！)
無駄な神頼みをしてから着替えを済ませ、階下に下りると、部屋に籠っている長兄以外はもう皆家を出た後だった。
学校では、不調を悟られまいと不自然に四郎や友人から逃げ回り、不穏な息苦しさと戦いながら授業を受け、辛うじて下校時間を迎える。
その頃には、心身ともに疲れ切っていた五郎は、雨の中早々に帰宅をし、玄関扉を開けて中に入ると、大きな大きなため息を吐いてしまう。
「はぁ…っっゲホッゲホッ…んっ」
それがきっかけだった。
急に大量の空気が通ったことで気管が刺激されたのか、そこから突然激しい咳が出始める。
途切れることなく続く咳に、呼吸もままならなくなり、五郎は慌てて吸入薬を制服のポケットから取り出すと、何とか吸おうとする。
しかし、息を吸うことも吐くことも十分には出来ない今の状況では、吸入をするのには無理があった。
薬も吸えないまま、ヒューヒューと自分の喉からなる喘鳴と咳だけが酷くなっていく。
久しぶりの大きな発作に、恐怖心が募る。
酸素が回らず、徐々に意識も朦朧とし始めてきた。
どうしよう、どうしよう
助けて、にぃ
苦しいよ
心の中で必死に兄達に助けを求めながらも、ついには体の力が抜け、玄関先に倒れこんでしまう。
そして、外の雨音と喘鳴だけが響く中、指先ひとつも動かせないまま、五郎は意識を失った。
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にひひ - とっても面白かったです！ありがとうございました。 (2020年8月1日 7時) (
レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» お待たせして、申し訳ありません。ご希望に添えたかどうか不安ですが…リクエストありがとうございました。 (2020年7月31日 18時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストです。雨の日に発作が起き家の治療でも治らず病院へ発作が収まり家に帰るとまた発作がというお話をお願い致します。発作はどっちも大きいものでお願いします (2020年7月24日 17時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» ご期待に添えるものが書けるかどうか分かりませんが、それでもよろしければリクエストお受け出来ます。 (2020年7月23日 21時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストいいですか？ (2020年7月23日 15時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちこ | 作成日時：2020年4月23日 20時
