きっかけ１ ページ10
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「ごろくーん！ピークフローいくつー？」
「460〜」
「他はー？」
「大丈夫〜」
朝、真剣に数値を書き込む四郎の手元には、五郎の喘息日記。毎朝毎晩、欠かすことなく記入されるそれは、四郎の大切な役割のひとつだ。
「ありがと、しろ」
「ちょっとでも変だったら、すぐ言ってくださいね」
「ほーい」
３年前のあの日から続くこのやりとりも、日記の記入も一度たりとも面倒だなんて思ったことはない。
こんなことで、大事な大事な自分の片割れの命を守ることが出来るなら。
もう二度とあんな思いはしたくないから。
３年前の春、中学に入学した四郎と五郎。
五郎は毎週通っている水泳の成果もあってか、体力がつき、少しずつ喘息の状態も改善されてきていた。
これまで、一郎や二郎のチェックを受けながらしていた体調管理も、入学を機に、五郎自身に任されることも増えてきていた。
新しい生活にも慣れ、体調も安定している。
正直、五郎自身気の緩みも大いにあった。
現にあれだけ、口酸っぱく言われていた服薬も、ピークフローの測定も、忘れたり時にはサボってしまうこともあったのだ。
そして、今となってはただの言い訳に過ぎないが、ちょうどその時、兄弟そろって皆忙しかった。
一郎は個展の話が持ち上がり、制作や打ち合わせに追われ、二郎はただでさえ忙しい自分のシフトに加え、怪我で長期離脱する同僚の穴埋めが重なり、ほとんど家で姿を見ることすらなかった。
三郎は就職１年目。
慣れない環境に四苦八苦しながらの体力仕事に、さすがの元気印も毎日疲れ切った表情で帰宅するのが常であったし、四郎も夏の大会の予選を控え、毎日遅くまでグラウンドを走り回る生活をしていた。
そうなると、相手の迷惑を１番に考えてしまいがちな、元来の五郎の性格がさらに仇となり、兄弟が知らない間に、状況は悪くなる一方であった。
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にひひ - とっても面白かったです！ありがとうございました。 (2020年8月1日 7時) (
レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» お待たせして、申し訳ありません。ご希望に添えたかどうか不安ですが…リクエストありがとうございました。 (2020年7月31日 18時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストです。雨の日に発作が起き家の治療でも治らず病院へ発作が収まり家に帰るとまた発作がというお話をお願い致します。発作はどっちも大きいものでお願いします (2020年7月24日 17時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» ご期待に添えるものが書けるかどうか分かりませんが、それでもよろしければリクエストお受け出来ます。 (2020年7月23日 21時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストいいですか？ (2020年7月23日 15時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちこ | 作成日時：2020年4月23日 20時
