嫌いになりたいと思う恋【黄瀬涼太】

story8 ページ8

涼太とは相変わらずな日々。




最近話したのは...





おはよー

行ってきます





くらいかな(笑)









仕方ない。
多忙なんだもん。









そして涼太主演のドラマが決まった。



しばらくは地方での撮影で
東京には戻って来ない。









涼太が主演だよ？

私の大好きな連ドラだよ？




喜ばしいことで誰よりも

" おめでとう "

って心の底から喜んであげなきゃいけないのに





私の心の中は寂しさでいっぱいで
また一歩...
涼太が私から離れて行くような気がした。





こんなにも近くにいるのに
すごく...すごく遠い存在に感じてしまう。









芸能人同士なら
そうゆうの...きちんと割り切れるのかもしれない。





ラブシーンとか...
もちろんあるよね。




涼太はどんなドラマかは特に言って来なかったけど
そんなの予想はつく。









本当の恋人同士なのに
恋人らしいこと...最近は何もない。





ドラマの中の恋人の方が
きっと...私よりも恋人らしいことするんだろう。








恋愛ドラマが大好きだから
ある程度の流れは分かっちゃうよ...









心の底から応援してあげれないなんて
私...恋人失格だ。









大学が終わると一人でアパートに帰る。


大輝は部活があるから帰りは一緒にはならない。









あれ...鍵開いてる？







恐る恐るドアを開けると
涼太の靴が並べてあった。







え...？ 涼太来てる？





大学から帰ってくる時間に涼太がいるなんて
めずらしい...


いや...大学に通い始めてから初めてだから
嬉しさよりもびっくり。







鍵を閉めて小走りでリビングに向かう。









貴「涼太？」







黄「Aっち、おかえり！！」




初めて二人で旅行に行くとき
お揃いで買ったスーツケース。

そのスーツケースに服を入れている涼太。





黄「オレ...明日からドラマの撮影始まるから
３ヶ月くらいこっちには戻ってこれないっス」





嫌な予感はした...

でもまさか明日からで...
しかも３ヶ月も会えないなんて...





貴「あっ...明日からなんだ。
そっか...３ヶ月...かぁ。
大変だけど涼太頑張ってね！」




私の言葉に涼太は手を止め
私の方に来てそっと抱きしめた。


そして...小さな声で



黄「Aっち、寂しいっスか？」



涼太はそう私に言った。

story9→←story7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す