零さん、あなたって人は…… (ページ15)

今日:18 hit、昨日:3 hit、合計:72,879 hit

災難2 ページ15

次の授業は水泳

あいにく、生理になってしまったので教室で自習することになっていたのだが、

何故かサボっている男子も数名いた

｢オイオイ、水泳サボりか？｣

｢音楽の成績がいいからって調子乗ってんの？｣

あっという間に取り囲まれてしまった

『……………』

｢てかさ、月永レオから楽譜貰ったろ？あれ、俺らにくれよ｣

｢そうそう。月永レオの曲があれば有名になれるし？お前が歌うのは勿体ないじゃん？｣

『それは……』

ただでさえと零さんのことで頭が痛いのに、生理痛も相まって具合が悪い。

｢ほら貸せよ！！｣

『あっ！』

持っていた楽譜を取り上げられてしまった

『か、返して？』

｢は？何これ、女性キーじゃん！しかもソロ曲だし…マジでお前のために書いたってこと？｣

｢劣等生のくせに生意気なんだよ！｣

パラッ

『ちょっ、やめて！！』

男は楽譜を窓から投げてしまった

下にある噴水に楽譜が落ちていく

『っ！どいて……』ブルッ……

｢は？聞こえなーい｣

『どいてって言ったの！！』

巽兄さんに、人にキレるのは良くないと言われて育ったけど、我慢の限界だった

普段怒らない私が怒ったので、男たちが怯んだすきに私は噴水へと走った

『ひどいっ………せっかくレオさんが書いてくれたのにっ』

もうびしょびしょになってるであろう楽譜が残念でならなかった

噴水前に着くと、全身びしょ濡れの天使？水色の髪をした男の子が立っていた

その手には、楽譜が握りしめられている

『あ、あの……』

｢はい？……｣

ゆるりと振り向いた男の子は可愛らしい顔をしていて、エメラルドの瞳が神秘的な人だった

そう言えば、いつも千秋さんと一緒にいるような…

『流星隊の………深海……奏汰？さん？』

｢うふふ、そーですよ。あなたは、かぜはやさんでしたね？｣

『どうして私なんかの名前を……？』

｢あいどるかの"おんなのひと"は"ひとり"しかいないので～｣

『そ、そう。あっ、そ、その……手に持ってる楽譜』

｢あぁ、だめですよ？"がくふ"はたいせつにしないとです！はい、どうぞ｣

だいぶ水に濡れてしまって、インクが滲んでいるけれど、破けていないし、譜面が読める程度で済んでいた

『あ、ありがとう！良かった……ほんとに良かった！』

｢うふふ、おやくにたててよかったです｣