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「…あのう、その、ここのボウルに入っていたクリーム知りません?」


「知らないけど、なに、それが自分の所有物だって言いたいの?」


「し、質問を質問で返すな…って、んむっ!?」


変な顔、と私の頬と鼻をつまんで彼はご満悦だった。

あの冬の夜から彼は、僕の身体を触った罪、と私が甘いものを作るたびにそれを食べて帰っていく、そんな関わりになった。


ある日は生クリーム。


ある日はチョコレート、バタークリーム、アイスクリーム。


そしてリクエストも多くなった。

いや、作れないけど。


「ねぇ、僕あれが食べたい、ほら、赤子の頬をちぎって丸めたやつ」


「猟奇的すぎ」


「たとえだよ、分かんないの?」


もうお前のこと嫌い。


とは言えなかった。


端的に言うと私は人間離れした彼の存在に酷く惹かれていたんだと思う。

そして彼もそのことは理解していた。


彼のご所望のマシュマロを作ってみれば、彼は普通、と言いつつめちゃくちゃ食べた。

かわいいなんて言えば首が飛ぶだろうけど、私はその言葉を堪えてかわりにクリームとシロップのたっぷり入ったミルクティーを出す。


「かわいい」


「お前ってほんとうに、手がつけられないくらい馬鹿だね」


馬鹿だよ、びっくりするくらい。


例えば、たとえば私が彼を酷く気に入っているとして。

だからこうやってたくさん甘いものを量産して彼を待っているとして。


それが毎日の楽しみだなんて。

次は何をしようかだなんて、そんな。


「今度はあれ作ってね、腐肉とクリームを混ぜたみたいなやつに僕の目みたいなものが乗っかってるやつ」


「フォレノワールのこと?」


「知らない」


そんな彼の正体を知らないとする。


それでいい、きっとそれがいい。

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猿モンキー(プロフ) - 有毒さん» ありがとうございます、身に余るお言葉です…not賢者書くのが大好きなのでそう言って貰えると嬉しいです、コメント、愛読ありがとうございました。 (2021年2月8日 0時) (レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
有毒(プロフ) - コメント失礼します。文章がすごく綺麗で言動が本当にオーエンらしくてとても素敵でした(*´˘`*)今まで賢者=夢主のお話ばかりみていたのですが、賢者≠夢主の魅力に気づけました、、!これからも頑張ってください(*´ ˘ `) (2021年2月7日 23時) (レス) id: be10f7a4f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年12月11日 23時

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