或る悪夢 ページ12
少し遅れましたがあけましておめでとうございます。
攫われたAちゃんを兵長が助けてくれるお話です。新年早々不穏ですがどうかお許しを。
夜の路地裏。下衆共にとって恐らくそこ以上の溜まり場は無い。
今宵も人買いが二人、この世で最も低俗であろう会話を交わしながら、路地裏に居座っていた。
「チッ、今日もしけてやがるな」
手に持った端金を勘定しながら、スキンヘッドが呟いた。
「いっそのこと、パーっと内地の金持ちを襲った方が良いんじゃねえか?でねぇと退屈で死んじまうぜ」
骨と皮ばかりに痩せたもう一人が、怪しい錠剤を口に含みながら問うた。
「だな。でもどうやって?内地には憲兵が大勢居やがる、強盗なんてすればそれこそ秒で豚箱行きだ」
「その事だがな。俺に考えがあるんだ__」
血に飢えた男共の計画が、宵闇の中静かに動き始めた。
不気味な程大きな月が街を照らし、真っ黒な影を作り出した。
.☆.。.:*・°.☆.。.:*・°.☆.。.:*・°.☆.。.:*・°.☆.。
夜が明けた。Aは、寝惚け眼を擦って布団から抜け出す。
綺麗に髪を梳かしお洒落な服を着て、そそくさと家を出発した。何故って、今日は親友のホームパーティの日だ。気合いを入れない訳がない。
「楽しみだなぁ〜!あ。おかし、なにか買っていかないと!おこずかいで買うには高いけど…今日ぐらいがんばろうかな」
この思いつきが悪夢の始まりであるなど、私は思ってもみないのだった。
「おかし…おかし…おこずかいで買えるやつ…」
いつもなら親に強請って買ってもらうところを、今日は一人でお菓子屋に出向き、商品棚の前で格闘していた。
が、やはり砂糖が貴重品なためか、子供の小遣いで買えるものは無かった。
「うーん…やっぱり諦めるしかないか」
と、すごすごと店を出た直後の事である。
「お嬢ちゃん!浮かない顔して、どうしたんだい?」
__二人の男が、私の大好きなお菓子を持って話しかけてきた。
「あ__えっと、」
「隠さなくてもいいぜ。おおかた、お小遣いで買うには高過ぎたんだろ?」
図星を指された私は、見知らぬ人に事情を詳らかに説明してしまった。
「なるほど。友達にあげるぶんが買えなかった、と。」
「はい…おかし、くれますか?」
「ああ、おじさん達の家に行けば、まだ沢山あるぜ!どうだい?」
「ほんと!?行く行く!!」
これで、皆にお菓子をあげられる。
彼らの甘い言葉に乗せられて、後に続いた……。
62人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーる(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます!!!!!まだまだ序盤ですが更新コツコツ頑張ります🥹 (12月16日 21時) (レス) id: 4a598cc49e (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - やっぱりあーる様の作品はめっちゃ面白いです! (12月16日 21時) (レス) @page4 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あーる | 作成日時:2023年12月15日 15時