あんずと隠れファン (3) ページ7
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小さく振動したスマートフォンと走り去るユウの後ろ姿。このふたつを見て、Aはすぐに彼女が自分を置いて逃げたことを悟った。
あとで痛い目見せてやる、と冗談なのか本気なのかわからないことを考えていると、あんずが勢いよく顔を上げる。
そして、衝撃のことを口にしたのだった。
「あの、下見も兼ねてこれから、Trickstarのレッスンを見ていきませんか？」
「……はい？」
1割くらい素が入ってしまうくらいには動揺しているA。
このままだと平静を保てなくなってしまうと、早急に判断したようだ。いかにもな“困り顔”をして、あんずに語りかける。
「でも、普通科の人間だから問題あるんじゃ……」
「私が話すので問題ありません！」
「わ、私、アイドルに興味あるわけじゃないよ？」
「ショッピングモールでライブするなら、一度見ておいた方が良いと思うんです」
「たしかに……」
あんずの言葉に一理ある、と頷いてしまったA。
しかし、彼女が朔間零以外のアイドルに興味がないのは本当のことだし、何より手紙を渡したならもうアイドル科に用はない。
やっぱり断ろう、と考えて口を開きかけた時。
「なんて、色々口実を作ってますけど……私が大好きな人たちを大好きな先輩にも見てほしいだけなんですよね……！」
「…………わ、わかった」
ちょっと頬を染めてそう言われてしまい、ついに折れてしまったA。自分とは違う、あんずの純粋な心を前に折れざるを得なかったのだ。
見る、と言ったAに、心底嬉しいのか満面の笑顔になるあんず。
多少の罪悪感を覚えながら、彼女につれられ、Aはアイドル科の校舎に入っていった。
(先輩もプロデュース科に来てくれればいいのに)
(……ユウ、許さないから)
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とわね(プロフ) - とても惹かれる作品です！更新頑張ってください！ (2018年8月18日 16時) (
レス) id: 1958dfbf36 (このIDを非表示/違反報告)
リッコ(プロフ) - ラムネを制する者さん» 本当だ……すごい間違いをしてしまいました。ごめんなさい。ご指摘ありがとうございます(^-^) (2018年8月10日 20時) (レス) id: d3767f5969 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネを制する者(プロフ) - すごく好みのお話で楽しく読ませてもらっています！吸血鬼が目覚める夜(3)の零さんの台詞の『ならぱ逃げなけれぱよい』なんですが『ならば逃げなければよい』なのでは？間違っていたらすいません！ (2018年8月10日 18時) (レス) id: f868d1ea51 (このIDを非表示/違反報告)
リッコ(プロフ) - フラッペさん» お褒めの言葉、ありがとうございます！初作品ですが、“丁寧”を意識してこれからも頑張っていきたいと思います！ (2018年8月10日 11時) (レス) id: d3767f5969 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ - こういう細かな文章とても好きです。キャラ一つ一つの感情も伝わってきますし、かく現場も想像できていいですね。おじいちゃんの零先輩も俺の方の零先輩も大好きなので続きが気になります……♪ (2018年8月10日 10時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リッコ | 作成日時：2018年8月7日 17時
