天地の差があるから (1) ページ13
.
【DDD】に備えまだレッスンを続けるというTrickstarとあんずを置いて、1人で夢ノ咲学院を後にしたA。
外に出れば、辺りはもう暗くなり始めていた。
「なんか、贅沢な体験をしてしまった……」
1人でぼそりと呟くA。
当初は「ボロを出しかねないからアイドルとはあまり関わらない」と豪語していたAだったが、あんずの強い押しによってまさかの事態になってしまった。
しかし、Trickstarのパフォーマンスを間近で見れたのは、貴重な体験だ。これについてはあんずに感謝をしているA。
問題なのは、スマートフォンの連絡先にしっかりと存在する、『羽風薫』の文字だ。
少ししか喋っていないが、薫はステージでのイメージ通り女好きだが悪い人ではなさそう。遊びに行くこと自体は嫌な訳では無い。Aはそう感じていた。
だが、普通科の女子が大人気のアイドルと休日に2人で出掛けるなど、あまり宜しくないことだ。
そのためAが考えた策が、先程の電話での話だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿
「羽風くんですよね。なんで私の番号を？」
『ん〜？まあ、ちょっとね。それより用事は終わったかな？てか何処にいるの？』
なぜ自分の携帯番号を知っているのか。とても気になるところだが、それは取り敢えず置いておくとしても、Aはなんて答えるべきか迷った。
アイドル科の校舎にいます、なんて正直に言った暁には面倒なことになるのは予測できる。
「……家です。さっきの件ですよね、今決めちゃいましょうか」
『うんうん、そうしよう！』
その場しのぎで嘘をついてしまったことに多少の罪悪感を覚えながら、Aは話を進めていく。
日にちは今週末の日曜日。それから大まかな時間と場所も決め、電話が切られようとした時。そのタイミングを狙って、Aは薫を引き止めた。
「羽風さん、デートするには1つ、条件があるんですけど……」
『ん、なあに？なんでも言って！』
どんな条件なのか期待している、といった声だ。プラスの方向に物事を捉える薫に、Aは辛辣な一言。
「羽風さんの所属するユニットが【DDD】で優勝してください」
その瞬間、電話の向こうの薫だけではない。聞き耳を立てていたTrickstarの連中も、ワナワナと震えていたあんずも。
その場の全員が固まって動けなくなったのだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とわね(プロフ) - とても惹かれる作品です！更新頑張ってください！ (2018年8月18日 16時) (
レス) id: 1958dfbf36 (このIDを非表示/違反報告)
リッコ(プロフ) - ラムネを制する者さん» 本当だ……すごい間違いをしてしまいました。ごめんなさい。ご指摘ありがとうございます(^-^) (2018年8月10日 20時) (レス) id: d3767f5969 (このIDを非表示/違反報告)
ラムネを制する者(プロフ) - すごく好みのお話で楽しく読ませてもらっています！吸血鬼が目覚める夜(3)の零さんの台詞の『ならぱ逃げなけれぱよい』なんですが『ならば逃げなければよい』なのでは？間違っていたらすいません！ (2018年8月10日 18時) (レス) id: f868d1ea51 (このIDを非表示/違反報告)
リッコ(プロフ) - フラッペさん» お褒めの言葉、ありがとうございます！初作品ですが、“丁寧”を意識してこれからも頑張っていきたいと思います！ (2018年8月10日 11時) (レス) id: d3767f5969 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ - こういう細かな文章とても好きです。キャラ一つ一つの感情も伝わってきますし、かく現場も想像できていいですね。おじいちゃんの零先輩も俺の方の零先輩も大好きなので続きが気になります……♪ (2018年8月10日 10時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リッコ | 作成日時：2018年8月7日 17時
