第15話 ページ15
〜〜♪
そんな時に掛かってきた電話。
俺は急いで通話ボタンを押した。
う「悪ぃ、事情は後で説明するから今すぐ家来てくれ。」
『わた、わたるくん……ごめんなさい…ごめんなさい……』
う「大丈夫だよ、怪我はない?」
『…ない……っ』
う「うん、なら良かった。」
『っ、渉くん………』
───…助けて…っ……!!!
う「っ、」
Aからの精一杯のSOS。
これを逃したら、Aが壊れてしまう気がする。
ピンポーン…
う「っ、ごめん。少しだけ出てくる。まだ細かい破片が残ってるから動かないでね。」
それだけ言い残して、俺は急いで玄関へと向かった。
ガチャッ
う「ごめん、急に呼び出して。
…坂田、まふ。」
玄関のドアを開けた先にいたのは、息を切らした2人。…走ってきてくれたのか。
ま「うらたさんが呼び出すってよっぽどでしょ……、で、何…どうしたの…?」
う「…前に俺が親戚の子を預かるって話をしたの覚えてるか?」
ま「?…あぁ、いとこを預かるって…。」
う「そう、その話。…で、ちょっといとこがワケありなんだ。」
坂「…今その子は?」
う「リビングにいる。パニック起こして皿割っちゃって、俺1人じゃどうにも出来なくて…。」
俺の言葉に、2人が目を見開いた。
ま「じゃあ今その子1人!?」
坂「ちょ、リビングやな!?」
う「っ、うわっ!!」
半ば俺を押しのけるようにしてリビングへと駆け出していった2人。
俺も2人の背を追ってリビングへと向かう。
そこには、掌を血塗れにしたAと、両手を掴んだまふまふがいた。
『っやだ、離してっ!!!』
ま「さかたん救急箱!!!」
坂「待っとけ!!!」
う「っ、A…」
目の前の光景が理解出来なくて、俺は入り口で立ち尽くしてしまう。そんな俺を見て、まふが声を掛けてくれた。
ま「うらたさん、この子連れてソファ行って下さい。僕ここ片付けるんで。」
う「っ、あぁ……」
ま「…うらたさんがそんな顔してたら、この子も怖がっちゃいますよ。笑顔、笑顔。」
ニコッ、と笑ってまふが軽く暴れるAを俺に渡してくる。
う「A、ソファ行こ?」
なるべく怖がらせないように、笑顔で。
『…はぁ、はぁ………』
抵抗する気も失せたのか、Aは大人しく俺に連れられてソファに腰掛けてくれた。
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まなつ(プロフ) - コメント失礼します。ただ一人の私自身を思ってくれる、本当の私を見てくれる、そんな優しい誰かがすぐそばにいる、それを気付かせてくれる誰かがいる夢主ちゃんはとても幸せですね。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月25日 23時) (レス) id: c0717d53d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゲッティ - 奇遇、私も埼玉住んでる (2020年6月13日 18時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 心春さん» これは世界中で理不尽ないじめと戦う皆の話です。貴方の心に響いたのならきっと貴方も過去(現在かもしれませんが)経験がおありなのでしょう。「結局誰も助けてくれない、けれど何処かに助けてくれる大人は必ずいる」をテーマに書いておりますのでコメント嬉しいです。 (2020年5月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
心春 - 泣いてしまいました。夢主ちゃんの周りに素敵な方達がたくさん居て、読んでいてとてもあたたかくなりました。これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます。 (2020年5月26日 0時) (レス) id: dd23ca9c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - しおさん» ありがとうございます。「貴方にとって優しい世界が何処かにある」をテーマに書いておりますので伝わっていたのはとても嬉しいです。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2019年8月6日 12時