背伸びが下手くそな俺のいとこ【うらたぬき】

第１４話 ページ14

『おはよう。』

う「おはよう。朝ごはん出来てるから座って食べようぜ。」



Aが家に来てから丁度１週間。
明日からAは転入先の高校に通い出す為身の回りのことはほとんど片付いていて、俺もオフなので今日は二人ゆっくり過ごす予定だ。



う「頂きマウス。」

『何それ〜。』

小さな事でもケラケラ笑うA。
母さん達から聞いていたイメージよりもずっと明るい。
これなら心配いらないなぁ、なんて。

〈続いてのニュースです。〉

テレビで報道されていたのは最近話題になっている教師間でのイジメ。しかも今回は動画まで流していた。

う「うわぁ…酷ぇな…こんなんが教師やってんのかよ…。」

大人が見てもおもわず顔を顰めてしまうような内容の動画。



───ガシャンッ！！！



う「…え、」

『っ、や、…いやっ、…とめて、とめて…っ！！！』

テレビから音のした方───Aを見ると、落として割れてしまった茶碗に目もくれず、頭を抱えるようにして震えている。

う「！？Aどうした！？」

『っ、テレビ、やだっ、…こわいっ、いたい…やだやだやだやだ…！！！！』

っ、テレビ……ニュースか！！！

俺は急いでテレビを消した。
しかしAはパニックに陥ってしまっている。

う「…A？もうテレビ消したから。ごめんな、気付かなくて。怖かったな。」

『やだやだやだ…！』

う「うん、やだったな。ごめん。」

…ここで俺までパニクったらダメだ。
落ち着け、俺。

とりあえずテーブルを挟んだまま、声を掛け続ける。

『ぅ……っ、わたるくん…わたるくん…っ……』

根気よく声を掛け続けているとやがて落ち着いたのか返事が帰ってきた。

う「そっち行っても大丈夫？」

『っ、こわい、っ…』

……怖い、か。

う「…じゃあ散らばった茶碗の破片集めても良い？このままだと危ないからさ。」

『……ん、…ごめんなさい…』

立ち上がって足元に新聞紙を広げて、大きな破片を一つずつ集めていく。

『…わ、わたしもてつだう……』

そう言って椅子から立ち上がろうとしたAを制した。

う「悪ぃけど今のAじゃ怪我しそうで危ねぇからじっとしてて。」

『っ、ごめんなさい…、ごめんなさい…ごめんなさい……っ！！』

とうとう泣き出してしまったA。

う「…はぁ。」

『迷惑かけてごめんなさいっ、やだ、きらわないで、やだやだっ！！』

う「…大丈夫だから落ち着けって。」

くそ、どうすりゃ良いんだよ…っ…

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