姉と主治医の話

06　ゲーム ページ6

Mはバガモンを倒すことには反対みたい。
大我も悪さをしないならバガモンのことは黙認してもいいって感じだ。

お互いにストレスを軽減させられるならそれに越したことはないし、おっさんがちゃんと面倒見るなら問題ないだろう、ってのもあるみたいだね。

そんな感じで話はまとまり、私達は廃病院に戻ることになった。

「……おい、A」

「何？」

「何でこっちまでついてきてんだよ」

廃病院まで来たA姉に、大我が訊く。

A姉の代わりに私が答えた。

「本当は私と１日遊ぶ予定だったの。
だからここに呼んだんだ」

「何でそんな面倒なこと……こいつだって暇じゃねぇんだぞ」

まぁいいけどよ、と呆れながら許してくれる大我。

最近、大我が折れるスピードが早い気がする。
三十路って諦めが早くなるのかな。
嫌だなぁ、それ。

私はそんな胸の内を晒すことなく、「ありがと！」と返事をしてA姉と私の部屋に入った。

「わぁ、可愛い！」

私の部屋を見てA姉が目を輝かせる。

前にA姉の部屋に行ったことがある。
その時のデザインはカッコいい系だったからそういうのが好きなのかと思ったけど、そんなことはないみたいだ。

「それで、ニコ。
何するの？」

「ジュージューバーガー。
いざって時のためにやっておいても損はないでしょ？」

私はそう言ってカセットを取り出す。

A姉は笑った。

「対戦モード？
腕の見せどころね」

それから私達はたくさんのハンバーガーを量産した。

途中から大我も参戦してきたからシューティングゲームに切り替えたら、流石というか何というか。
初心者向けのステージは全部パーフェクト(しかも初見プレイ)でクリアしてきた。

医者として難しい手術をこなしたりするからか手先も器用だし、結構センスがある。

実際に他のジャンルのゲームも割とすぐにコツを掴んでた。

私達は夜になるまでずっとゲームをしていた。

☆☆☆

夜中にふと目が覚める。

のそりと起き上がった私は、水でも飲みに行こうと給湯室へ向かう。

その中に、1つだけ僅かに明かりが漏れている部屋があった。

大我がまだ起きてるんだろう。

気になって部屋を覗いてみると、何かをカルテに書き込む大我と、それを眺めるA姉がいた。

少し経ってから、A姉が小声で大我に訊く。

「それ、誰のカルテなの？」

「俺のだ」

大我は、そう即答した。

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