14 夢 ページ14
・・・・・・
すぐに眠りについたニコを見て、大我は息を吐く。
少し前まで抱いていたあの怒りは、今はない。
しかし、ニコを怖がらせてしまっただろうと、大我は思っていた。
だからこそ、安心したように寝息をたてるニコを見て、自分もほっとしたのだ。
そして、大我もすぐに眠りについた。
☆☆☆
これは夢だ。
大我はすぐに気付いた。
視界に入ってくるのは、大量の0と1の羅列。
そして、それを背景に立つA。
明らかに現実ではない状況だ。
「……A」
「数時間ぶり、かな?
ごめんね。
私、データになっちやったみたいで」
訊きたいことがたくさんある。
言いたいことがたくさんある。
なのに、大我の口は動かない。
「私が外に出たのは、外が騒がしかったからなの。
もしも何かまずいことが起きていたら皆に伝えて避難してもらおうと思ったんだけど……結果はこの通りで」
「やめろ。
もういい」
大我はようやくそう言うと、Aに言った。
「そんなことはどうでもいい。
それよりも大切なのは、どうしてお前が俺の夢にこうやって出てきてるのかってことだ」
俺に何か用事があるのか?
大我がそう尋ねると、Aが口を開く。
「用事っていうか、お願いがあるの。
……ニコのこと、よろしくね」
「分かった」
「それから私、必ずそっちに戻るつもりだから。
それまでは我慢してて」
「あぁ」
大我はAの頼みをしっかり引き受けると、頷いた。
そして、自分もAに頼む。
「A、俺からも頼みがある。
なるべく早くに戻ってこい」
「もちろん。
頑張るから忘れずに待ってて」
Aが自信あり気に微笑んだ。
それを最後に、夢の中の大我の視界は闇に閉ざされた。
・・・・・・
私が起きるのはいつも大我より後だった。
それは今日も例に漏れない。
簡単な朝食が机に置いてある。
大我の字で『食っとけ』という書き置きがあるから、何か緊急の用事が出来たんだろう。
私がそう思いながら朝食を取っていると、大我が戻ってきた。
「おかえり」
「ただいま」
ストールを椅子の背にかけて、大我が椅子に座る。
その表情はどこか思案しているみたいだった。
こういう時は話を切り出してくるのを待つしかない。
やがて大我がこっちを見て、夢の話をしてくれた。
「ふぅん……私をよろしく、か」
大我、私のこと任されちゃったんだ。
それじゃあ、A姉の敵討ちとか言って死にに行けないね。
良かった。
私はこっそりと口角を上げた。
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風早紫音(プロフ) - すっごく時がたってますが…。感想伝えたかったので、書きます。本当にこの小説のお話しが好きで大我推しの私としてはすごく楽しんで読ませていただきました。この小説を書いてくれてありがとうございました! (2023年2月6日 0時) (レス) @page33 id: 3b05bc2eb8 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんにちわm(__)mげんき?ごめんね…わからないけどコメントできるようになっていた!嬉しいよ!つっつまー…ほんとにいい作品ありがとう!あたしは凄く好きだから(//∇//)これからも応援していくね! (2017年6月24日 14時) (レス) id: 09c93e2580 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは。 お疲れ様! なるほど、少しリナの会社事情が分かったよ(知ってどうする)。 私もリナの小説の更新をいつも楽しみにしてるよ。 お互いに無理せず頑張っていこうね! (2017年6月14日 23時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんにちわm(__)mお疲れ様ですm(__)m更新ありがとう(///∇///)待ってましたよ(///∇///)夜勤は長いなら意外と自由にやってるしスマホいじりはみんなしてるから大丈夫(//∇//)色々ありがとう(///∇///)あたしも頑張ります(^-^ゞ (2017年6月14日 12時) (レス) id: 63c890a766 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - こんばんは。 お疲れ様! いつも待ってくれてありがとう。 夜勤中にこんなの見てて平気なの? 怒られない?(笑) ちょっと元気が回復してるみたいで良かった。 無理せず頑張ってね。 (2017年6月14日 0時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つっつまー | 作成日時:2017年5月19日 21時