第431夜 ページ41
アリ「それで眠ってしまった紅玉さんはここに運ばれてきたってわけです。あなただけじゃなくて、夏黄文さんやその部下の人達、それにシンドリアの兵や使用人も眠っています。もう目を覚ましたかもしれませんけど………」
紅玉「そうなの………」
興味があるのかないのか、少し遠くを見つめるように紅玉さんは頷きながら聞いていた。少し沈黙を挟むと、ゆっくりと紅玉さんが口を開く。
紅玉「……私楽しかったわ。シンドバッド様との手合わせも、シンドリアでの生活も。」
懐かしむように目を細め、ふわりと微笑みながら紅玉さんは言った。
アリ「紅玉さんは……その……好き、なんですか？シンドバッドさんのこと。」
紅玉「あなた、デリカシーの欠片も無いのね。」
アリ「えっ！？す、すみません………」
鋭く細められた目に睨みつけられる。俺が慌てて謝ると、紅玉さんはふいっと顔を逸らした。
紅玉「いいの。どうせ叶わない恋だから。初恋だったんだけどね。」
アリ「初恋、ですか………」
叶わない恋だ、とさらりと言った紅玉さんに驚いた。
恋と言えば、よくAも、自分がモテないことを気にしてたよな。のくせに、モテない俺を罵って馬鹿にして……って、今思い出しただけでも腹立ってきやがった。クッソ………
紅玉「ええ。あの方に初めて出会った時からずっと………でも、相手にされないことなんて分かっているわ。今日だって、あの方は………私を、女の子じゃなくて……戦力としか見てくださらなかった。」
アリ「そんなこと………」
何て言葉を掛けていいか分からなかった。女の気持ちなんて分からねぇし、ましてや初恋の相手から一人の女じゃなくて戦力としか見られなかった女の気持ちなんて、分かるわけなかった。
紅玉「それでもいいの。私は力を振るう為に軍人になったんだから。一生、煌帝国の為に尽くして生きるわ……私の国だもの。組織の奴らなんかに壊させたりしない！！」
金属器である簪をぎゅっと胸の前で握りしめて、紅玉さんはその真っ直ぐな瞳を煌めかせる。覚悟を決めた目だった。俺なんかよりも、ずっと強い目だ。
アリ「凄い、ですね……紅玉さんは。俺なんて、何もかも中途半端で。バルバッドのことだって、まだ何も解決できてないのに。」
俺の周りは、なんて言うのかな。キラキラと輝いていて、希望とか、夢とか。そんなのに導かれて、いつも笑顔な人達で溢れててさ。そんな中にいると、中途半端な俺が、どうしようもなく情けなく思えるんだ。
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riba(プロフ) - Shuka*さん» Shuka*さんコメントありがとうございます！この作品無駄に話長いんで……すみません大変でしたよね笑 わざわざ読んでくださって本当に嬉しいです〜！これからも頑張ります！！！！ (2017年7月26日 23時) (
レス) id: 2aa2cb58f7 (このIDを非表示/違反報告)
Shuka*(プロフ) - すっごく面白いです！！読み始めて2日目で今出ているところまで読んじゃいました！笑 本当に続きが楽しみですです！更新頑張ってください！ (2017年7月26日 23時) (レス) id: f9bfcf9f30 (このIDを非表示/違反報告)
riba(プロフ) - 紅葉 モミジさん» むしろ私のこの夢小説のほうがおまけだと思いますよ！？紅葉モミジさんのイラスト集、応援しております！！！頑張ってくださいね！！！！！ (2017年7月23日 19時) (レス) id: 2aa2cb58f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 モミジ(プロフ) - ribaさん» いえいえ、そんなそんな！ありがとうございます！ribaさんの作品の素晴らしさを知って頂きたいだけです！自分の絵なんてただのおまけです！これからも応援しております！ (2017年7月23日 19時) (レス) id: 3c6dd2441c (このIDを非表示/違反報告)
riba(プロフ) - 紅葉 モミジさん» 全然構いません！許可なんてむしろいらないですよ載せてください！！笑 この素晴らしいイラストをみなさんに早く見ていただきたいですから笑 (2017年7月23日 18時) (レス) id: 2aa2cb58f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：riba | 作成日時：2017年5月5日 19時
