第403夜 ページ13
ｺﾝｺﾝ
侍女「あの……お食事をお持ちいたしました。」
アラ「………僕が行くよ。」
アラジンはベッドから降りて扉へと向かう。
ドゥニヤは再び膝に顔を埋め、決して侍女と目を合わせようとはしなかった。
アラ「……食べるかい？」
ﾄﾞｩﾆﾔ「いいわ。今は……」
アラ「そうかい…………」
それを聞いたアラジンは、侍女が持ってきたスープをベッドの隣の小さなテーブルに置いた。
アラ「………ドゥニヤおねいさ」
何か声をかけようと、アラジンは口を開く。でもドゥニヤはそんなアラジンの声を遮った。
ﾄﾞｩﾆﾔ「私、気付いていたのよ。」
涙のせいで声が震える。嗚咽も酷く、アラジンはドゥニヤの背中を優しくさすった。
ﾄﾞｩﾆﾔ「………全部…まがいものだって………あんなの……イサアクじゃなかったのに。でも何もかも失った私は、あの人形に縋るしかなくて……力が欲しかったの………国を取り戻すための。だからあんなものに手を出して………ねぇ、アラジン。私は死ぬの？」
アラ「……………………え？」
まさかドゥニヤの口から死の言葉が出てくるとは予想していなかった。アラジンは目を見開いてドゥニヤを見つめる。
ﾄﾞｩﾆﾔ「分かってる。イスナーン様に言われましたわ………私がこの闇の金属器に見合った器じゃなかった時には、命を落とす。ねぇ、隠さないで教えて。私は死ぬの？」
ドゥニヤはアラジンの手を掴み、真っ直ぐにアラジンの目を見据える。
アラジンは、少しの間考え込んで、こう言った。
アラ「………それは、分からない。」
ﾄﾞｩﾆﾔ「分からない？」
アラジンの言葉にドゥニヤは首をかしげた。
アラ「僕はね、ドゥニヤおねいさんと同じように、組織に利用されていた人を見たことがあるんだ。闇の金属器使いさ。その人は、闇の金属器を使った直後に死んでしまった。」
ﾄﾞｩﾆﾔ「………………………………」
やっぱり……と項垂れるドゥニヤの両肩に、アラジンは力強く手を置いた。
アラ「でも、ドゥニヤおねいさんは絶対に死なせたりしない！！…………だけど、僕だけの力じゃ駄目なんだ…………」
ﾄﾞｩﾆﾔ「…どういう事………？」
裏を返せば、アラジン以外の誰かの力を借りればドゥニヤを助けられるかもしれない、ということだろう。でもアラジンは創世の魔法使いと呼ばれるマギなのだ。彼以上にドゥニヤに何が出来る者が果たして存在するのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
riba(プロフ) - Shuka*さん» Shuka*さんコメントありがとうございます！この作品無駄に話長いんで……すみません大変でしたよね笑 わざわざ読んでくださって本当に嬉しいです〜！これからも頑張ります！！！！ (2017年7月26日 23時) (
レス) id: 2aa2cb58f7 (このIDを非表示/違反報告)
Shuka*(プロフ) - すっごく面白いです！！読み始めて2日目で今出ているところまで読んじゃいました！笑 本当に続きが楽しみですです！更新頑張ってください！ (2017年7月26日 23時) (レス) id: f9bfcf9f30 (このIDを非表示/違反報告)
riba(プロフ) - 紅葉 モミジさん» むしろ私のこの夢小説のほうがおまけだと思いますよ！？紅葉モミジさんのイラスト集、応援しております！！！頑張ってくださいね！！！！！ (2017年7月23日 19時) (レス) id: 2aa2cb58f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 モミジ(プロフ) - ribaさん» いえいえ、そんなそんな！ありがとうございます！ribaさんの作品の素晴らしさを知って頂きたいだけです！自分の絵なんてただのおまけです！これからも応援しております！ (2017年7月23日 19時) (レス) id: 3c6dd2441c (このIDを非表示/違反報告)
riba(プロフ) - 紅葉 モミジさん» 全然構いません！許可なんてむしろいらないですよ載せてください！！笑 この素晴らしいイラストをみなさんに早く見ていただきたいですから笑 (2017年7月23日 18時) (レス) id: 2aa2cb58f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：riba | 作成日時：2017年5月5日 19時
