end2・gray（2） ページ28
〜夢主 side〜
秋は、病院で亡くなった。
頭からの大量出血が致命傷になっていたらしい。
第一発見者として、ボク等は警察から事情聴取を受けた。
チョロ松兄さんが警察に対応し、
【音が聞こえて様子を見にいったら数人の人影が秋を殴っていた。また、自分達が駆けつけるとその人影は逃げていった】
と説明した。
おそ松兄さんは笑わなくなった。
愛想笑いはするけど、心の底から笑うってことができなくなってしまったんだと思う。
＿＿ザマァみろ。
四六時中沈んだ顔をしているおそ松兄さんを見て、ボクは内心ほくそ笑んでいた。
ボクは秋が好きだった。
ずっとずっと、ずぅっと。
けどそれを奪ったおそ松兄さんがとてつもなく憎い。
薄暗い自室で文机に向き合い、ポケットに入っていた白い御守りの中身を取り出した。
部活の演技で行き詰まった時、紙に目的と課題、貰った役名を書いて持ち歩いた物だ。
以前の目的をグシャリと丸めて捨て、新しい紙に新しい目的を書き入れる。
【目的・おそ松への復讐(てか殺す)
課題・いつも通りに振る舞う，兄の傷が癒えるまでは優しくする
役名・おそ松の妹の松野 A】
『…よし』
折りたたんで白い御守りに隠した。
縁側でおそ松兄さんが一人黄昏れていた。
『おそ松兄さん』
おそ「…ん。Aか。どうした？」
おそ松兄さんは薄く笑みを浮かべた。
ボクはおそ松兄さんの隣に座る。
『…まだ気にしてる？』
おそ「そりゃあ人殺しちゃったからな…」
『そっか…』
あんたが死ねばよかったのに。
『でもおそ松兄さんがいつまでも引きずる必要はないよ。ショックだったんでしょ？秋と一番仲良かったのは兄さんだし。それに、事故だったんだから』
事故だとしても許さないけど。
『兄さんが笑ってくれないと調子狂うんだよ』
笑顔になって。
『だから笑ってて。前みたいなお気楽なお兄ちゃんでいてよ』
笑顔になって、全部忘れた頃に地獄に叩き落としてあげるから。
『大丈夫』
大丈夫。
『ボクは兄さんの味方。兄さんのこと、大好きだもん！』
ボクは躊躇ったりしないから。
兄さんのこと、大っ嫌いだもん。
おそ「…そうだな。ありがとな！A！」
おそ松兄さんはさっきより明るく笑った。
『どういたしまして』
よかった、と思ってもない言葉を添えてボクも笑った。
いつか、ボクがその笑顔を歪めてやる。
いつか、ボクが全てを真っ赤に染めてやる。
それまでせいぜい笑ってろ。
end2・gray
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夜風 樹(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます！リクエストということでよろしいでしょうか？では、番外編でほんの少しだけ書いてみます。気長にお待ちくださいm(_ _)m (2018年4月4日 8時) (
レス) id: 18422badd9 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 秋と付き合うエンドが見てみたいです！ (2018年4月4日 3時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜風 樹 | 作成日時：2017年5月10日 23時
