end1・black（3） ページ26
〜おそ松 side〜
赤塚総合病院に足を運んだ俺はネームプレートを見上げた。
《岩城 秋》という名がしっかりと存在している。
決意を固め病室に足を踏み入れた。
岩城「あれ、おそ松？君が見舞いに来るなんて思わなかったな〜」
ベッドで上半身を起こしカラカラと笑う岩城には、悲しんだ様子や気を遣う様子は見えない。
岩城「どうしたの？」
おそ「…俺の妹のことなんだけど」
岩城「ああ…あの女…」
岩城がポロリと零した言葉にカチンときた。
は？
あの女？
おそ「なに。うちの大事な妹を、あの女呼ばわり？」
岩城「そっちこそなに？あんな不良品、それで十分だろ」
おそ「てめぇ…」
岩城「ちょっと優しくしてやったら勘違いしやがって。好きだってからかったら考えさせてとか。
自分の価値を忘れた哀れなモノに、少しでも夢を見せてやったんだ。むしろ感謝してほしいね」
おそ「黙れ！」
岩城の胸ぐらを掴んだ。
岩城「おそ松〜もっと怪我人を労ってよ〜」
グッと奥歯を噛み締め手を放した。
岩城「そう言えば、そっちの要件はなんだったの？妹のことだって言ってたよね」
今までの話を聞いて、伝えるべきかどうか迷った。
俺が俯いて押し黙っていると、ふふっと笑う声が耳に届いた。
岩城「なんとなくわかっちゃった。Aが俺のこと好きだとか、そんなんでしょ？」
おそ「なっ…！」
岩城「図星か」
全て見透かすような岩城の笑顔に腹が立つ。
岩城「でもさ、俺あいつのこと嫌い。いっつも俺に擦り寄ってきてさ、鬱陶しくなったから精神でも物理でも打ちのめしてやったのに。
まだ信じてるとか抜かしてんの。馬鹿だよね。あいつが死んでおそ松も清々したんじゃない？」
おそ「んな訳あるか！」
岩城「どうだか。心のどっかにあるもんだよ。そーゆーの」
不敵に笑う岩城に、俺は返す言葉がなかった。
おそ「これ以上は、時間の無駄だ」
そう吐き捨て、俺はその場を立ち去った。
岩城「…演技って難しいんだな、A」
一人になった岩城が小さく嗚咽を漏らしていたことは、誰も知らない。
・・・・・・
真っ直ぐ帰宅し、Aの部屋の襖を開けた。
主人を失った暗い空間で家具は薄く埃を被っていた。
この部屋を使っていた妹はもういないのだと改めて実感する。
なんで岩城が生きて、Aが死んだんだろう。
おそ「なんでっ…」
A…
おそ「ごめん…」
ダメな兄ちゃんでごめん
こんな俺でも、許してくれるか…？
end1・black
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夜風 樹(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます！リクエストということでよろしいでしょうか？では、番外編でほんの少しだけ書いてみます。気長にお待ちくださいm(_ _)m (2018年4月4日 8時) (
レス) id: 18422badd9 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 秋と付き合うエンドが見てみたいです！ (2018年4月4日 3時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜風 樹 | 作成日時：2017年5月10日 23時
