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「 紅炎お兄様、体調はいかがですか?」
部屋に入ると紅炎お兄様は意識はあるものの返事を返すのがやっとの状態だった。
私は傍にあった水をくみ、紅炎お兄様に差し出した。
「 ありがとう、しかし風邪をひくなど…」
「 しょうがないですわ、さあ、寝てください。」
紅炎お兄様を寝かしつけ、後は女官に任せようと部屋を出ようとしたら手を引っ張られ紅炎お兄様の上に乗ってしまった。
手を引っ張ったのは紅炎お兄様。 左手が恋人繋ぎのまま私は紅炎お兄様に乗っていた。
「 お兄様、どうしたのですか?」
「 …いくな。」
手を握る力が強くなる。紅炎お兄様はただ私を見つめていた。 私は思わず はい と返事を返した。
ーーーーーー
(( 紅炎お兄様もきっと寂しいのね。 ))
隣ではすっかり眠りについている紅炎お兄様がいた。 相変わらず手は繋いだままでそこからどれだけ苦しいかが伝わってくる。
さっきまで外は雨が降り続いていたのにいつの間にか雨が弱くなっていた。 このまま雨も上がってくれれば暖かくなるのに、と思いつつ紅炎お兄様に掛け布団を被せる。
「 ゆっくり寝てくださいね。」
手を握り返しただ見つめていた。 こんなにも苦しそうなお兄様を見るのはつらいが、いつも休みもなく忙しい日々を過ごしている方だからこうして休めてよかったのかもしれない。
お兄様が私の方に寝がいりをうった。
私は落ちたふとんをかけ直そうと手をかけたとき
「 絶対、渡さない…」
紅炎お兄様がいきなり寝言をいって思わず体がびくりと波を発した。 突然の事で思わず笑ってしまった。 紅炎お兄様も寝言言うんだなと思いきっと、仕事のことかなと思いふとんをかけ直した。
私はこの時この言葉を聞いてはいけなかった。
「 A…」
そういった紅炎お兄様は頬に星屑を流していた。
私は後にこの言葉の意味を知ることとなる。
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作者名:佑里 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ri0410saka1/
作成日時:2017年2月18日 23時