バルガスキャンプ61 ページ7
◇
ユウは落ち着きを取り戻したAから事情を聞くと、激しく自分に怒りを覚えた。
何故、Aを1人にしたのか。
「妖精が相手なら僕は勝ち目がないかもしれない。それでも、もう君を1人にはさせないから」
『ユウくん……ありがとう』
泣き腫らした赤い目で弱々しく微笑むAに、ユウは胸が締め付けられる。
Aには笑っていてほしい。
こんな悲しげな笑みではなく、いつものような花が咲いたような笑みで笑っていてほしい。
もう1人にはさせない、ユウはそう強く心に決めた。
◇◆◇◆
日が暮れ始め、ユウはAの手を引いてキャンプ場に戻ってきていた。
既に課題をクリアした部員たちが集まっており、それぞれ自由に過ごしている。
ユウは焚き火の番をしているラギーのそばへ歩みを進めた。
「ラギー先輩」
「Aにユウくんじゃないッスか。……って、ユウくん、怖い顔してどうしたんスか？」
「実は……」
ユウはラギーにAが妖精に攫われそうになったことを話した。
今の今まで自分といる時に妖精が顔を見せることはなかったが、いつまたAを狙ってくるかわからない。
本当は自分だけの力でAを守りたいが、魔力のない自分は魔法が使えない。
自分のちっぽけなプライドで、Aを危険な目に遭わせるのならそんなものは捨ててやる。
ユウの話を聞いている内にラギーの顔色は変わっていった。
「話はわかったッス。とにかく……」
『ラギー……？』
顔を伏せたラギーはAの前に立つと、腕を伸ばして柔らかな身体を抱きしめた。
『ら、ぎー……』
「無事で本当に良かった……っ」
自分の知らない内に、Aを失っていたかもしれない恐怖からラギーはAを掻き抱く。
「ラギーサン、どうしたんですか？」
エペルやリドル、ジャミルたちはラギーの様子がいつもと違うことに気がつき、そばにやってくる。
「実は……」とユウが先程ラギーに話した内容と同じことを伝えると、皆の顔色はみるみる内に変わっていった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時間の止まったリス - バルキャンの妖精の男の子のイメージに何故か鏡◯レ◯くんが浮かんじゃいました(当時のリスがプ◯セカにハマっていたことからです) (2022年3月23日 9時) (
レス) @page3 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 夢桜さん» 反応集ですか！それは読むのが楽しみです^ ^頑張ってください♪ (2021年8月4日 13時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - ありがとうございます！呼んでみてくださいね！ツ○ステの反応集？も作ってみたので、そちらもみてください！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: f6c4d55ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 夢桜さん» 鬼○のお話を書かれているんですね！鬼○は私も大好きなので是非読ませていただきます(*^_^*) (2021年8月3日 17時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - はい！私の無理のないペースで頑張っていこうと思います！今、鬼○の刃の夢小説をかいているので、読んでみてください！ (2021年8月3日 13時) (レス) id: f6c4d55ff1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ここ
| 作成日時：2021年6月19日 21時
