バルガスキャンプ60 ページ6
◇
逃げないと、この少年から逃げなければ。
そう頭の中で警鐘が鳴るが、身体が動かない。
もう片方の手がAを抱き寄せようと伸びる。
『(だめ……声が、出ない……っ)』
涙が滲む目をぎゅっと瞑ったと同時に
「おーい、Aちゃーんっ」
救いの声が聞こえた。
『(ユウくん……っ)』
「あーあ、あの子たちやられちゃったのか。もう少しだったのになあ、残念」
聞こえてきたユウの声に、少年は不貞腐れて頬を膨らます。
「邪魔が入っちゃったね。もしその気になったらボクの名前を呼んで？ ボクの名前は………………リオン」
少年はAの耳元で名前を告げると姿を消した。
『……っは……、は……あ……っ』
ようやく身体が動くようになり、Aは膝から地面に崩れ落ちた。
力が入らない、呼吸が苦しい。
ツゥ……と冷や汗が背中を伝う。
「あ、いた。えっ、Aちゃん顔が真っ青だ……っ、どうしたの！？」
『ユウ、くん……っ』
座り込むAを見つけたユウはAの様子がおかしいことに気づき、駆け寄ると肩を抱く。
手のひらから伝わる温かい温もりに、安堵から涙が溢れた。
「Aちゃん！？ なにが、なにがあったの！？」
『ユ、ウくん……ユウくん……っ、お願い……そばに、いて……』
涙を零しながら自分の名前を呼ぶAの背中にユウは腕を回す。
自分と離れている間にAに何かがあったに違いない。
そうでなければAがここまで恐怖を感じることはない。
「Aちゃん……うん、そばにいる。僕がそばにいるからもう大丈夫だよ」
『ふ……っ…こわ、かった……っ』
ユウの胸に縋りつき、Aは小さく声を漏らしながら泣き続けた。
もしユウが来なかったら、自分はどうなっていたのだろう。
そのことを考えると震えが止まらない。
ユウは震える身体を強く抱きしめ、安心させるように優しく背中を撫で続けた。
.
◇◆ここの呟き◆◇
オリジナルキャラの妖精の少年の名前は、名乗ったセリフの箇所をよーく目を凝らすと薄らと見えます
イメージ画像をTwitterの方に公開しておりますので、容姿等が気になった方はご覧になってみてください
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時間の止まったリス - バルキャンの妖精の男の子のイメージに何故か鏡◯レ◯くんが浮かんじゃいました(当時のリスがプ◯セカにハマっていたことからです) (2022年3月23日 9時) (
レス) @page3 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 夢桜さん» 反応集ですか！それは読むのが楽しみです^ ^頑張ってください♪ (2021年8月4日 13時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - ありがとうございます！呼んでみてくださいね！ツ○ステの反応集？も作ってみたので、そちらもみてください！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: f6c4d55ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 夢桜さん» 鬼○のお話を書かれているんですね！鬼○は私も大好きなので是非読ませていただきます(*^_^*) (2021年8月3日 17時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - はい！私の無理のないペースで頑張っていこうと思います！今、鬼○の刃の夢小説をかいているので、読んでみてください！ (2021年8月3日 13時) (レス) id: f6c4d55ff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ここ
| 作成日時：2021年6月19日 21時
