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『天城さん。』
燐「お、苗字だけど初めてマトモに名前呼んでくれたなァ。」
茶化すように、彼は笑ってそう言った。
『天城さん！！』
そしてもう一度、名前を呼ぶと諦めたように笑って、こう言った。
燐「なんで、今、見つけちゃうかなァ、ほんと。」
そう言った彼の顔を見上げると、私は俯いてしまった。
何かを喋ろうと思ったのに、うまく言葉が出てこない。
彼の、どこか寂しそうな、泣き出しそうな表情に、なんて言えばいいのかもわからなくなった。
燐『もう清々すンだろォ？あんなうるさかったやつはもうここから消えるんだぜ？』
燐『散々うるさくしたもンなァ。迷惑だっただろ？』
燐『…なあ、なんでそんな顔すンだよ…』
なんでそんな顔、なんて、こっちのセリフなのに。
言い返そうにも、言葉が出てこなくて。
この人になんて言葉を伝えれば正解なのか、もうわからなかった。
突き放して、他人になったはずなのに。
もう関わってはいけないと決めたはずなのに。
でも…このままじゃ、ダメだと思ったから。
だからここにいて、何かを伝えなければと必死になっているのに。
肝心の言葉は浮かばなくって。
『天城さん、私は…私…は…』
彼の服の裾を掴んで、どこにも行かないようにとめてみせるけど。
でも言葉が喉につっかえて、うまく喋ることができない。
燐「なァ、ひとつ、聞いていいか？」
『……なんですか。』
燐『俺っちが、アイドルの天城燐音じゃなくって、「天城燐音」ってヤツだったら…Aちゃんはあのチケット、受け取ってくれンの？』
『……え？』
燐『……なーんてな。』
私が戸惑っていると、彼は笑って、その言葉を誤魔化した。
そしてその場を立ち去ろうと歩き出した。
『私は……私はあの時一瞬、受け取ろうとしました…。それが、私の本心です。それが、答えです…！だから…！』
待って。行かないで。なんて、口にしようとしたところでハッとした。
今更私が止めてなんになるのか。
そもそも今の彼に私の言葉なんて…
私はぎゅっと拳を握りしめて、俯く。
立ち止まった彼は、こちらを向く。
燐「…ンだよォ…それ。」
『っあ…ご、ごめんなさい。』
燐「…じゃあな。」
そう呟くと、私の頭をぐしゃぐしゃと撫で、
彼はそのまま振り返ることなくその場を立ち去ったのだった。
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玲桜（れお）(プロフ) - 氷雨さん» コメント本当にありがとうございます！続編の方、近日中の公開となります！もうしばらくお待ちくださいませ……本当にお待たせいたしました！！！！ (5月11日 2時) (
レス) id: 2613a2065b (このIDを非表示/違反報告)
氷雨(プロフ) - あ〜…この小説は神ですか?神ですねはい。すっっごく私好みの!小説!です!作者様ありがとうございます｡･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡続編を是非ともください!あっ、作者様が無理しない範囲で!待ってます! (2022年12月13日 1時) (レス) @page50 id: 14f43c169e (このIDを非表示/違反報告)
玲桜（れお）(プロフ) - クロウサさん» ありがとうございます！！続編ですね……！！検討します！ (2022年12月5日 22時) (レス) id: 0fa042ec4d (このIDを非表示/違反報告)
クロウサ(プロフ) - 私は、続編があってもいいと思います。 (2022年12月5日 22時) (レス) @page50 id: 004a3e734e (このIDを非表示/違反報告)
玲桜（れお）(プロフ) - のっといこーるさん» 更新お待たせしてしまい本当にすみませんでした(・ω・ ；)楽しんで貰えたなら本当に良かったです！！ありがとうございました！！ (2022年12月4日 1時) (レス) @page49 id: 0fa042ec4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玲桜（れお） | 作成日時：2020年4月2日 14時
