誘惑欲張りJEWELRY『3』

侮ることなかれ ページ9

「お、お待たせしました。」

「Aちゃん、荷物見ててくれてありがとう!」

　それから数分後の事、春歌先輩と澄空さんが華やかな水着姿に一転して現れた。

　春歌先輩は淡い桃色を基準としたワンピース型の水着、澄空さんは水色のビキニに半袖のパーカーを羽織っている。

「可愛い!!」

　どちらも似合っていて、正に海に舞い降りた女神。私は感動の余り、思わず両手を口元に当てて、感嘆の声をあげた。

「そ、そんな、Aちゃんが水着を選んでくれたお陰です。」

　頬をほんのり桃色に染め、恥じらいつつも嬉しそうにする春歌先輩に、慣れないビキニに戸惑う澄空さんから滲み出るキラキラ輝くオーラに目が殺られそうである。

　矢張り、2人の水着を選らんで良かったと感動を隠せない。

そして実際、今ここに何人か居る男性陣は、私含めて既に目が潰れかけている。

「つばさちゃーん、超似合ってるよ!」

「暉、お前はもうちょっと大人しくしてろ……後、澄空、その、似合ってるぞ。」

「あ、ありがとうございます。」

　ハイテンションな王茶利さんに、照れつつも褒める野目さん。

「はーちゃんもよう似合っとるで!」

「七海、すっごく似合ってるよ!」

「ハルカ、可愛いです!」

　桐生院さんや、一十木先輩、それに愛島先輩の様に素直になれば良いものの、他は顔を赤くするか彼女達に見惚れていて固まっているかで、私的には詰まらなかった。

「さあ、皆さん日焼け止めは塗りましたか? まだ塗ってない方、又は日焼け止めを持ってきてない方は私に言って下さいね。」

　気を取り直して私は持ってきた手提げ鞄の中から、幾つかの日焼け止めを取り出す。

「クリームタイプに乳液タイプ、それにローションタイプにジェルタイプ、スプレータイプ、パウダータイプまで取り揃えてあります。お好きなのどうぞ。
あ、因みにどれも防水タイプですので、少量の汗や多少水に漬かる位なら気にしなくて大丈夫ですよー。」

　日焼け止めとは言え、タイプは多種多様。少しでも自分に合わない物を付けると、肌荒れの原因になってしまうし、紫外線をカットする所では無くなってしまう。

だから、日焼け止めなんてどれでも良いなんて言わせない。アイドルは歌だけではない。顔も商品の1つである皆さんの肌を絶対に荒れさせない為の工夫の1つだ。

　日焼け止め、侮ることなかれ。

心なしか→←「うちの子」発言

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す