真っ平御免の助 ページ4
「アンタ、うちの事務所に来る気は無いか?」
突拍子の無いお誘いに私も、一ノ瀬先輩も皐月さんも戸惑いを隠せない。
一ノ瀬先輩なんて、驚きのあまり口をポカンとだらしなく開けている。正に、開いた口が塞がらない状態だ。
「えっと、丁重にお断りさせて頂きます。ごめんなさい。」
私はそう言って深々と頭を下げる。
「あの変態眼鏡と同じ事務所だなんて、死んでも嫌です。て言うか、絶対禿げる。」
嫌味で何を考えているのか、さっぱり分からない事務所の社長息子でありHE★VENSのリーダー、鳳 瑛一が居る事務所など絶対に嫌である。
毎日ヤツの嫌味をネチネチ言われては、こちらの気が滅入ってしまうではないか。
「そら残念や。アンタくらいの実力があれば、うちで女優として充分やっていけると思ったんやけどなァ。」
「ハハッ、やっていけたとしても私のストレスが尋常じゃないです。ていうか、私は女優ではなく作曲家志望なので。」
私の乾いた笑いがレッスンルームに響く。
レイジング事務所での生活をつい想像してしまったのだ。
鳳 瑛一の嫌味を耳にするだけで、私の毛根が全て死滅しそうである。
「アンタみたいな子が居ってくれたら、ワイももっとやる気が出たんやけどな。」
眉を軽く八の字にして、寂しそうに此方を眺めてくる。
「何行ってるんですか。私以上の実力者なんて、其処ら中にゴロゴロ居ますって。」
適当に彼の言葉を避けつつ、ゆっくりとそれでいてバレない程度に少しずつ扉へと近付いていく。
早くこの場から逃げたい。ただそれだけ。
元から芝居をやっていた人間ではあるが、私は夢半ばで挫折し辞めてしまっている人間だ。辞めてからと言うもの、一切合切芝居に触れていなかった。
だから今ここで、実力がある、お前の演技は凄い等と言葉を並べ立て、褒められても素直に喜べない。
これでは女優としての素質が無いと突き放された、昔の私が馬鹿みたいではないか。
「私はシャイニング事務所でQUARTET★NIGHTの皆さんに認められる作曲家を目指したいので、折角のお誘いですがお断り致します。」
それに、QUARTET★NIGHTの面々とも少しずつ打ち解け始めている。今此処で、今やっと見えだした自分の道を閉じたくはない。そんな一心で私は桐生院さんの必死なお誘いを断った。
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櫻餅(プロフ) - cocolove420さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが、頑張りたいと思います。色んなキャラと絡ませられる様に頑張ります。 (2017年10月27日 15時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
cocolove420(プロフ) - とても面白いとおもいます!これからも更新頑張ってください!ちなみにうたプリは藍、ツキウタは駆、恋、涙、B-PROJECTは竜持、BROTHERS CONFLICTは風斗と弥が好きです!なのでそのキャラをなるべく多く絡ませてほしいな!とおもいます! (2017年10月25日 22時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ひろさん» コメント有り難う御座います!この作品の夢主は自分も気に入っているので、そう言って頂けて大変嬉しいです。恋愛要素はこれから多く書いていく予定ですので、頑張っていきたいと思います。不定期ですが更新も頑張ります。 (2017年10月24日 17時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - ぁあああぁ夢主ちゃんが可愛い!!!!!夢主ちゃんがいろんな方々に取り合いされていちゃいちゃしているところが見たいっ← 更新頑張ってください!!!!! (2017年10月23日 17時) (レス) id: 20b3f29abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年10月7日 1時