厄介な人間に好かれ易い ページ23
五線紙の上をペンが走る。その音が止まることは無い。俺の否、俺達の目の前でひたすら曲を書き続ける俺達の作曲家。
「Aちゃーん?」
寿が声を掛けるも、返事は当然の様に返ってこず。柏木はひたすら曲を作る。まるで自分の世界に入り込んでしまった様だ。
「完全に集中しているね。こんな彼女は初めて見たよ。」
美風がぼそりと呟いた。
確かに美風の言う通り、俺達は彼女がこんなにも必死になって作曲する姿を見た事が無かった。
何時も俺達に反抗してばかりの生意気で口先だけの小娘だと思っていたが、実はそうでもないらしい。
さっきの霜月との話を聞いた時に実感した。真剣に俺達と向き合おうと悩み、しっかりと答えを出したのだ。その真っ直ぐな気持ちを聞いて、俺は、此処にいる俺達はQUARTET★NIGHTの曲をコイツに任せても良いと思ったのである。
まあ、思っても本人には言ってやらないがな。
これから、頼んだぞ。霜月に言った言葉を忘れるなよ。と言う意を込め、彼女の頭を優しく撫でてみるも気付かれない。
どれだけ集中しているんだコイツは。
撫でた時、何やら俺の後ろで寿が「ミューちゃんがデレた!」等と喚いていたが、そんなものを一々気にするほど俺は器の小さい人間ではない為放っておいた。
「相変わらず綺麗だねェ。」
うっとり、そんな言葉がしっくり来る。
此方に目もくれないでペンを走らせる柏木を愛おしそうに眺める霜月。
「まだ居たのか貴様は。」
「アハハッ、随分な言われようだね。」
霜月の弾んだ声がやけに脳内に響く。
さっきのやり取りからずっと不思議であった。
「コイツと貴様はどういう関係なんだ? 随分とこの娘に入れ込んでいる様だが。」
「気になるかい?」
ニコニコと笑みを浮かべる霜月。何を考えているのか、見当がつかない食えないヤツだ。
「強いて言うなら、僕は彼女のファンだよ。」
「え? 普通逆じゃない?」
柏木の隣に座る帝が首を傾げた。
「いいや、僕は彼女のファンなんだよ。昔からのね。」
霜月の意味ありげな言葉によって、更に謎が深まる。
「おい、それはどういう―――」
「霜月さーん、次お願いしまーす!」
スタッフによって言葉を遮られた。
「はーい。それじゃ、また後で。
あ、一応言っておくけど僕は彼女を諦めた訳じゃないからね? 隙あらば拐っていくつもりだよ。」
そう言って霜月は去って行った。
どうやらこの娘は、厄介な人間に好かれ易い様である。
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櫻餅(プロフ) - cocolove420さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが、頑張りたいと思います。色んなキャラと絡ませられる様に頑張ります。 (2017年10月27日 15時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
cocolove420(プロフ) - とても面白いとおもいます!これからも更新頑張ってください!ちなみにうたプリは藍、ツキウタは駆、恋、涙、B-PROJECTは竜持、BROTHERS CONFLICTは風斗と弥が好きです!なのでそのキャラをなるべく多く絡ませてほしいな!とおもいます! (2017年10月25日 22時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ひろさん» コメント有り難う御座います!この作品の夢主は自分も気に入っているので、そう言って頂けて大変嬉しいです。恋愛要素はこれから多く書いていく予定ですので、頑張っていきたいと思います。不定期ですが更新も頑張ります。 (2017年10月24日 17時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - ぁあああぁ夢主ちゃんが可愛い!!!!!夢主ちゃんがいろんな方々に取り合いされていちゃいちゃしているところが見たいっ← 更新頑張ってください!!!!! (2017年10月23日 17時) (レス) id: 20b3f29abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年10月7日 1時