隣の芝は青い ページ20
「おや、どうして? 君にとって悪いことは無いと思うけれど。」
そう言って、Aの目線に合わせる為に少し腰を屈め、彼女の顔を覗き込む隼。
台詞の所為か、隼から溢れ出る妖しげな魔王様オーラの所為か分からないが、今の彼は何処か悪役めいている。
そんな彼にAはどう答えるのか、僕は耳を傾けた。
「確かに、ずっと憧れてきたプロセラの作曲家になれる。そして今の様に、必死になって頭を抱えながら曲を作る事もない、どれも私にとってメリットばかりです。」
「だったら―――」
「でも私、この合宿に来てまだ1日、たった1日しか経っていないけれど気付いたんです。カルテットナイトの皆さんがどれ程アイドルとして頑張っているか。どれくらい素敵な自分達の音を持っているか。」
隼の言葉を遮り、Aはハッキリとそう言った。真っ直ぐと曇りの無い瞳を彼に向け、更に言葉を紡いでいく。
「昨日のロケで分かったんです。皆さんと歩み寄ろうとしなかったから、私は皆さんが持っている優しくて素敵な音色に気付けていなかった。遅くなってしまったけれど、私、それを見て皆さんの音の魅力を最大限に引き出せる作曲家になりたいって少しずつ思える様になったんです。」
言葉に纏まりは無いけれど、どうにかして自分の気持ちを伝えようとする真っ直ぐなAの想いが溢れだし、隼だけでなく、僕の心までに染み渡ってきた。
「プロセラの皆さんの曲を作った時の私は、お恥ずかしい事にカルテットナイトの作曲家だと言う意識が足りなかったんです。」
自分と真っ直ぐ向き合える子に、僕も曲を作って貰いたい。
「勿論、プロセラの皆さんの音が好きと言う事に変わりは有りません。ですが私はカルテットナイトの作曲家。1度引き受けた仕事は最後までやり遂げたい。」
隼が彼女をどうしても欲しがる理由が段々分かってきた。
彼女は綺麗過ぎるのだ。自分の想いに素直で曲げる事を知らない。只々純粋に前を向く少女。
「今まで皆さんと喧嘩ばかりして、真剣に向き合おうとしなかった人間が何を言っているんだと思いますよね。自分がどれだけ自分勝手な人間かは重々承知しています。それでも私は彼等の魅力溢れる最高の曲を作りたいんです。
だから、ごめんなさい隼さん。」
彼女はさっきと何1つ変わらない綺麗な瞳を彼に向けてそう言い切った。そんな彼女を見て思う。
隣の芝は青いとは正にこの事。
僕もこの子が欲しくなっちゃった。
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櫻餅(プロフ) - cocolove420さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですが、頑張りたいと思います。色んなキャラと絡ませられる様に頑張ります。 (2017年10月27日 15時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
cocolove420(プロフ) - とても面白いとおもいます!これからも更新頑張ってください!ちなみにうたプリは藍、ツキウタは駆、恋、涙、B-PROJECTは竜持、BROTHERS CONFLICTは風斗と弥が好きです!なのでそのキャラをなるべく多く絡ませてほしいな!とおもいます! (2017年10月25日 22時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ひろさん» コメント有り難う御座います!この作品の夢主は自分も気に入っているので、そう言って頂けて大変嬉しいです。恋愛要素はこれから多く書いていく予定ですので、頑張っていきたいと思います。不定期ですが更新も頑張ります。 (2017年10月24日 17時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - ぁあああぁ夢主ちゃんが可愛い!!!!!夢主ちゃんがいろんな方々に取り合いされていちゃいちゃしているところが見たいっ← 更新頑張ってください!!!!! (2017年10月23日 17時) (レス) id: 20b3f29abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年10月7日 1時